アマチュアボクシング

アマチュアボクシング

四角いリング上で2人の選手が向かい合い、グローブをはめた左右の拳で相手と打ち合って勝敗を決するボクシング。今回は、オリンピックなどで実施される『アマチュアボクシング』についてご紹介します。
今年は東京でオリンピックが開催されますが、オリンピックで実施されるのは「アマチュアルール」に則った競技です。

1. 基本的なルール

アマチュアボクシングの試合では、選手はトランクス、ランニングシャツ、シューズ、グローブを着用します。また、かつては頭部を保護するため、ヘッドギアの着用が義務付けられていましたが、男子シニア(18歳~40歳)の試合では、2013年以降廃止されました(ジュニアや女子シニアの試合では、継続してヘッドギアの着用が義務付けられています)。そのほか負傷防止のため、マウスピースとファウルカップ(下腹部を保護する防具)を着用します。

試合時間は、国内大会からオリンピックまで、シニア男女ともに3分3ラウンド(高校生、中学生は2分3ラウンド、小学生は1分半3ラウンド)で、ラウンド間に1分の休みを挟んで行われます。

勝敗は、トランクスのベルトラインより上の前面または側面(腕を除く)に有効打(クオリティーブロー)をどれだけ数多く当てたか、を基準に決せられます。

競技は相手への加撃を伴うので、安全性と公平性を保つため、体重別に競技が行われます。

男子オリンピック階級の例
階級名称 体重(男子・シニア)
フライ級 46キロ超52キロまで
フェザー級 52キロ超57キロまで
ライト級 57キロ超63キロまで
ウェルター級 63キロ超69キロまで
ミドル級 69キロ超75キロまで
ライトヘビー級 75キロ超81キロまで
ヘビー級 81キロ超91キロまで
スーパーヘビー級 91キロ超
  • オリンピック女子は5階級で実施される。
  • 男女も含めて、高校生(ジュニア)、小中学生(アンダージュニア)などのカテゴリーによって体重区分は違う。

2. プロとアマチュアの違い

ボクシングと聞くと、プロボクシングを連想する人が多いと思いますが、アマチュア(以下「アマ」と略)とプロとは全く別もの、と考えた方がよいかも知れません。簡単にいえば、プロは、いかに相手に効果的なダメージを与えたか、に重点を置くのに対し、アマは、いかに相手に有効打を数多く当てたか、に重点が置かれます。

ルールも異なります。先ほどもふれたとおり、アマは1試合3ラウンド制。プロでは最低4ラウンド、10ないし12ラウンドの試合もありますから、陸上で例えるなら、短距離走と中、長距離走の違いといえるかも知れません。

勝敗判定も、有効打でダウンして10秒以内に競技を続けることができないノックアウト(KO)はプロ、アマ共通ですが、5人の審判(プロは3人)の採点による判定や、力量の差が大きく試合続行が難しいなど主審(レフリー)の裁量により試合を止めるレフリー・ストップ・コンテスト(RSC)などがあります。

また、採点方法も、同じ1ラウンド10点満点の減点方式ながら、その基準は大きく異なります。例えば、ひとつの有効打でダウンを奪った場合、プロでは奪われた側が大きくポイントを失いますが、アマでは有効打のひとつとして見られるに過ぎません。仮にダウンを奪われた側が、そのラウンド全般において有効打を多く当てていた場合には、ダウンを奪った側が、逆にポイントを失うこともあるのです。

3. ボクシング競技の魅力

ボクシング競技、特にアマの場合、「いかに有効なパンチを数多く打ち込むか」が勝敗のカギとなります。ただし、相手も動くし自分も動く。単発では、なかなか当たるものではありません。そこで、「ストレート」、「フック」、「アッパー」といった、さまざまな加撃を組み合わせて一連の動作とする打ち方(コンビネーションブロー)を、相手の動きを予測しながら打ち込みます。

一方で、相手からも同様に攻撃されますから、これを防ぐ必要があります。足を使ってよけたり(フットワーク、ステップワーク)、前腕を盾のようにして頭部や腹部を覆ったり(ブロッキング)、頭部を左右に揺すったり、体を沈めたりしなからパンチをやり過ごしたり(スリッピング、ダッキング)、グローブで相手のパンチを払い除けたり(パーリング)しながら、相手の隙を見つけてパンチを交換し合います。

こうした攻撃・防御一体となった技術を互いに駆使し合いながら、スピードのある動きで、しのぎを削る姿は、見ていて目が離せなくなります。

4. 主要な大会

国内では全日本選手権、国体、社会人選手権、大学リーグ戦、インターハイ(高校)、全日本アンダージュニア大会(小中学生)などの大会が開かれているほか、海外では毎年、世界選手権などの国際大会が開催されています。

また、オリンピックでは、そのルーツは古代ギリシャの時代にまで遡ります(ルールは現在と大きく異なるようですが)。近代オリンピックでは、1904年セントルイス大会以降、現在に至るまで正式種目として実施されている、歴史のある競技です。

ところで、肝心な日本人選手の活躍ですが、これまでオリンピックでは金メダル2個、銅メダル3個を獲得しています。特に2012年のロンドン大会では、金メダルと銅メダルを各1個ずつ獲得するなど、国際大会でも好成績を収めるようになってきています。2020年はいよいよ東京オリンピック。前回1964年東京大会では金メダル1個を獲得しているので、今回もぜひ期待したいものですね。

協力:一般社団法人日本ボクシング連盟
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