生涯生活設計の大切さ

高齢社会を生きる

私たちが生きていくのは、高齢社会です。
日本の社会は、明治以来、着実に高齢化してきました。明治20年代に男性43歳、女性44歳程度であった平均寿命は、大正期にはそれぞれ61歳程度にまで延び、現在では男性81.25歳、女性87.32歳にまで達しています。

第二次世界大戦直後における高齢者(65歳以上)の割合は、5.1%に過ぎませんでした。それが平成17年には2割を超え、西暦2025年(令和7年)には3割に達するものと予測されています。
現在の65歳以上の高齢者の総人口に占める割合(高齢化率)は、28.3%(総務省統計局「人口推計」平成31年4月1日確定値)となっています。その要因は、①平均寿命の延びによる65歳以上人口の増加と、②少子化の進行による若年人口の減少です。

その高齢社会では、社会保障給付費(「医療」「年金」「福祉その他」の給付費)は増大し続けており、現役世代の負担増と将来の給付水準の課題を抱えていることから、自分の生活は自分で守るという自助努力の必要性がますます増大しています。

退職後の期間の長期化

高齢社会は、それに対する社会的対応を必要とするだけではありません。私たち自身のライフサイクルにも、退職後の年月が大変長くなるという変化をもたらしました。定年後再雇用(再任用)を希望し、65歳に退職するとなれば、65歳の平均余命は、男性で約20年、女性で約25年(平成30年簡易生命表)と大幅に長期化しています。

この長くなった退職後の人生をいかにいきいきとして充実したものにしていくか、これからの大きな課題であります。

高齢者や高齢社会に対する考え方の変化

21世紀は「高齢者の世紀」です。高齢者の世紀の到来は、国民生活の向上と社会保障の充実の成果だといってよいでしょう。しかし、21世紀における高齢者は、もはやさまざまな面で若年層に依存する社会的弱者ではありません。

高齢者は、長年にわたって知識・経験・技能を培い、豊かな能力と意欲をもつ者として考え直されています。経済競争のグローバル化の中で、そして健全で活力に富んだ社会をつくり上げるうえで、高齢者の豊かな経験と能力が求められています。

さらに、高齢者の比率が3割になろうとしている現在、これまで退職後の生活を支えることに寄与してきた年金制度や社会保障制度の見直しが進められています。国民経済を維持し、向上させていくうえでも、高齢者の活躍に期待が寄せられているのです。

私たちは、長くなった人生をどう過ごしたらよいのでしょう。

長くなったライフステージは、ある意味で変化に富み、必ずしも順風満帆といえるものにならないかもしれません。健康への不安、将来の生活への不安などをもつ人も多いでしょう。また、公的年金の支給開始年齢が引き上げられ、経済的な不安を一層増した人も多いかもしれません。
こうした不安や危機感に前もって対処すると同時に、もっと積極的にこれからの生活を豊かなものとするために必要なこと、それが生涯生活設計なのです。