甘酒

甘酒

ここ最近、健康ブームに乗って、「甘酒」にも注目が集まっています。この甘酒には2種類あることをご存知でしょうか。初詣の参道などでよく振る舞われているのは「酒粕甘酒」。冬の寒い日に飲むと、とても体に染みますよね。また、最近話題の甘酒は「米麹甘酒」。誰でも気軽に飲める甘酒として人気です。今回は、この2種類の「甘酒」について、豆知識を紹介しましょう。

1. 甘酒の種類

甘酒は、米麹や酒粕を主原料に作られた甘い飲料です。米麹を主原料にする①米麹甘酒と、酒粕を主原料にする②酒粕甘酒の二つの種類があります。

  1. 米麹甘酒
    米麹甘酒は、米麹を主原料としています。米麹に水を加えて保温しながら約一晩かけて発酵させます。その間に、麹菌の出すアミラーゼという酵素がデンプンをブドウ糖に分解し、甘さを生み出します。そのため、砂糖は使用していません。
    また、麹菌の出すプロテアーゼという酵素は、タンパク質をアミノ酸に分解し、旨味を生み出します。
    米麹甘酒は、名前に「酒」とつきますが、アルコール分は含まれていないので、妊婦や未成年でも安心して飲むことができます。
  2. 酒粕甘酒
    酒粕甘酒は、酒粕を主原料としています。酒粕とは、日本酒などの製造で生産される「もろみ」を圧搾した後に残る白色~淡黄色の固形物のことをいいます。
    酒米を醸造すると重量比で25%ほどの酒粕が取り出されます。甘酒にするには、湯に酒粕を溶いて加熱し、砂糖などの甘味料を加えます。酒粕には味がないため砂糖を入れるほか、独特の風味を消すために生姜汁やレモン汁を加えるなどすると、飲みやすくなります。
    酒粕は、酒造りの過程で味わいの異なるものができるため、いろいろな酒粕を使い分けることにより、特徴のある甘酒にすることができます。
    酒粕にはアルコール分が含まれますので、妊婦や未成年が飲む場合は、よく加熱してアルコール分を飛ばすようにしてください。

2. 甘酒のルーツと歴史

  1. 米麹甘酒
    起源とされる「天甜酒(あまのたむざけ)」は、奈良時代に成立した歴史書「日本書紀」にその記述が見られます。諸説ありますが、木花開耶姫(このはなのさくやひめ)が狭名田(さなだ)の稲で作ったとされています。
    甘酒が盛んに飲まれるようになったのは、行商が盛んになった江戸時代に入ってからといわれ、栄養価が高く、滋養強壮、夏バテ対策として広まったといわれています。そのため俳句では夏の季語として扱われています。また、甘酒は、落語の小噺にも登場するほど、庶民にとって馴染みの深い飲み物となっていたようです。
  2. 酒粕甘酒
    万葉集に詠まれた山上憶良の「貧窮問答歌」には、「糟湯酒(かすゆさけ)」として酒粕をお湯で溶いて飲んだとも記されています。
    酒粕甘酒が、現在のように初詣などで飲まれるようになったのは、大正時代以降といわれています。

3. 甘酒の効果

近年甘酒の健康効果や美容効果が注目されるようになりました。「飲む点滴」や「飲む美容液」ともいわれるようになっています。

  1. 米麹甘酒
    ブドウ糖とビタミンB群を豊富に含んでいることから「飲む点滴」ともいわれ、疲労回復にとても効果があります。
  2. 酒粕甘酒
    酒粕に含まれる栄養価が高いだけでなく、コレステロール上昇抑制作用や血圧を下げる作用のほか、肌のキメを整える、血流改善により体を温めるなどの効果もあります。

いずれの甘酒も、主原料が米麹、酒粕といった発酵食品であることから、腸内環境を整える効果も期待できます。

4. 健康ブームに乗って

このような健康作用により、甘酒の人気は高まっています。甘酒の、調理しなくても飲むだけでOKという手軽さは、忙しい人にも無理なく取り入れることができます。
皆さんの食生活の中に、甘酒を積極的に取り入れて、健康や美容に役立ててみてはいかがでしょうか。

協力:一般社団法人日本糀文化協会
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