ボッチャ

ボッチャ

2016年のリオデジャネイロパラリンピックで、試合会場に勝利の雄たけびを鳴り響かせていた車いすの選手をご記憶ではないでしょうか。その競技が銀メダルを獲得したボッチャです。トップクラスではわずか1ミリのズレが勝敗を分けることがあるといわれるほどの集中力が要求され、その緊張感があの雄たけびになったのでしょうか。
パラリンピックの正式種目のために、障害者向けのスポーツと思われるかもしれませんが、実は障害のあるなしにかかわらず、老若男女、誰でも一緒に競い合えるスポーツです。今回は、来年の東京パラリンピックでもメダルが期待されるボッチャを紹介します。

1. ボッチャってどんなスポーツ?

ボッチャは、ヨーロッパで生まれた重度脳性麻痺者もしくは同程度の四肢重度機能障害者のために考案されたスポーツで、パラリンピックの正式種目です。
ジャックボール(目標球)と呼ばれる白いボールに、赤・青のそれぞれ6球ずつのカラーボールを投げたり、転がしたり(蹴ってもOK)、他のボールに当てたりして、いかに近づけるかを競います。
障害によりボールを投げることができなくても、勾配具(ランプ)を使い、自分の意思を介助者に伝えることができれば参加できます。
競技は男女の区別のないクラスに分かれて行われ、個人戦と団体戦(2対2のペア戦と3対3のチーム戦)があります。
国際大会では障害の程度によってBC1からBC4の4つのクラスに分かれます。日本国内では、障害の程度がBC1からBC4に相当しない選手のためのオープンクラスも創設されています。
ボッチャとはもともとイタリア語でボールを意味する単語から来ています。

2. パラリンピック

1988年ソウル大会から正式種目に採用。日本代表は2008年の北京大会に初参加。2016年リオデジャネイロ大会では混合団体競技で銀メダルを獲得しました。
日本代表チームの愛称は火ノ玉JAPAN。ただ投げる・転がすだけでなく、一球一球に魂を込めて戦う気持ちや、激しく闘志を燃やしチーム一丸となって勝利を目ざす気持ちを込めています。

3. ボッチャのルール

ゲームの目的は、赤または青(コイントスでどちらを選ぶか決めます。赤ボールチームが先攻)のボールを投げ、より多くのボールをジャックボール(目標球・白)に近づけられるかを競うことです。ボールは、はずみにくく転がりにくい革製です。
コートは長さ12.5m、幅6m。まずゲームの始めに先攻チームがジャックボールを投げ入れます(ジャックボールが、コートにV字型に引かれたジャックボールラインを越えなかった場合は相手側にジャックボールを投げ入れる権利が移ります)。続けてジャックボールを投げた選手が最初のカラーボール(赤)を投げます。次に相手側の選手がカラーボール(青)を投げます。以降はジャックボールより遠い距離にあるカラーボールの側がボールを投げます。
両チームが全てのカラーボールを投げ終わった時点で1エンド終了し、得点をつけます。得点の数え方は、ジャックボールに一番近い相手のカラーボールよりも、さらに近い位置にある自分のボールが、それぞれ1ボールにつき1点の得点が与えられます(得点の数え方はカーリングと少し似ています)。
個人戦・ペア戦は1試合4エンド、チーム戦は6エンドあり、全てのエンド終了後、各エンドの得点を合計し総得点の多いサイドが勝者となります。

4. ボッチャ甲子園

特別支援学校などのチームが参加して2016年から毎年、夏に開かれている大会です。2018年は全国から選抜された24チームが参加し、熱戦が繰り広げられました。今年は8月13日に東京都の港区スポーツセンターで開催。特別支援学校に通う生徒などが日頃の練習の成果を発揮し、意欲的に日々の体育学習に取り組む良い機会になっています。

5. ボッチャの魅力

基本ルールはとてもシンプルですが、他のボールを弾いたり、コート外に押し出したり、相手の投球ラインにボールを止めてブロックしたり、壁をつくったり…その攻め方、守り方のバリエーションは無限大で、作戦次第で結果が大逆転する面白さがあります。
パラリンピックの種目であることから、障害者向けのスポーツと思われるかもしれませんが、障害のあるなしにかかわらず、子どもから高齢者まで男女を問わず、全ての人が一緒に競い合えるスポーツであるところも魅力です。
リオデジャネイロパラリンピックでのメダル獲得以降、全国各地で、一般の人が参加できる体験会や、地元地域等でボッチャの魅力を発信し普及に関する活動ができるサポーター養成の講習会が開かれています。
小学校での体験会開催も増えています。その場での障害者との交流や、パラスポーツを身近に感じることにより、地域共生社会を考えるきっかけともなっているようです。
皆さんもぜひ一度体験されてはいかがでしょうか。

協力:一般社団法人日本ボッチャ協会
〒107-0052
東京都港区赤坂1-2-2 日本財団ビル4階
公益財団法人日本財団パラリンピックサポートセンター内
H P:https://japan-boccia.com/