木炭

木炭

木炭といえば、燃料としての利用のほかにも、脱臭剤などいろいろなものに利用されています。今回は、特に良質な木炭という評判の「備長炭」の効用についてみてみましょう。

1. 備長炭とは

備長炭は、火力が強い、火が長持ちする、うちわ一本で火加減の微妙な調整ができるなどから、料理用燃料として広く利用されています。断面は金属的な光沢があり、打てば金属音がします。
備長炭は、きわめて硬い材質の常緑樹であるウバメガシ、アラカシ、を炭材に使用することで生まれます。これらの木は萌芽しやすく主に沿岸のやせ地に生息しますが、生長が遅く、炭材として最高の品質になるまでには30年以上かかります。

2. 備長炭の歴史

中国から日本に炭焼きの技術を伝えた功労者の一人が弘法大師空海です。仏教の布教と同時に日本各地に炭焼きの技術を伝えたとされています。
当時、紀南地方は熊野と称され、熊野炭といわれていました。
備長炭の呼称は元禄時代(西暦1700年代)から使われるようになりました。当時、紀州藩の炭問屋、備長屋長左衛門がその名づけ親とされています。江戸日本橋青物町の問屋にも送られ、これが好評で江戸一円に広まり、その名が知られるようになりました。

3. 備長炭の効用

備長炭を電子顕微鏡で見ると、縦にも横にも通じる無数の穴があることが分かります。穴の表面積は、備長炭1グラムで約300平方メートルもあり、そのため吸着力に優れた性質をもっています。そのうえ、この無数の穴には微生物が住みつきやすいため、微生物の膜をつくり、不純物を分解します。

  • おいしいご飯が炊ける
    炊飯器に、お米と一緒に入れて炊くと、備長炭の吸着効果でお米のヌカ臭とカルキ臭をとってくれます。
  • おいしいミネラルウォーターができる
    水道水を入れた容器に備長炭を入れておくとミネラルウォーターができます。カルキ臭をとり、また備長炭がアルカリ性であるため、からだにいい弱アルカリ性の水になります。
  • お風呂に入れるとからだがよくあたたまる
    お風呂に入れて沸かすと、湯のカルキが除かれ肌にやさしく滑らかになり、遠赤外線放射により温熱効果も高まり、湯冷めしにくくなります。
  • 冷蔵庫や押入れの中に入れておくと消臭・除湿できる
    冷蔵庫の臭いを消す効果があります。押入れに入れると臭いだけでなく湿気もとってくれます。
  • ベッドの下に入れると不眠・神経痛・冷え性に効果的
    木炭にはマイナスイオンを発生させる役割があります。マイナスイオンは、副交感神経を刺激し、気分をおだやかにしたり、鎮静する働きがあり安眠を助けます。血行もよくなり冷え性にも効果的です。

協力
  和歌山県教育委員会、紀州備長炭博物館
  和歌山県のホームページ
  紀州備長炭博物館のホームページ