チーズ

チーズ

身近な乳製品のひとつである「チーズ」。「人類が作った最も古い食品」といわれるそうです。人類が山羊や羊などを家畜化したころ、偶然に固まったミルクを見つけたところから始まり、知恵を駆使し、長い歴史を経て現在のチーズに至ったであろうことは、想像に難くないでしょう。今回は、そんなチーズの豆知識をご紹介します。

1. チーズっていつごろから食べられているの?

チーズの起源は、はるか紀元前4000年頃の先史時代にまで遡るといわれています。チーズ作りの発祥の地がどこなのかを示す確たる証拠はありませんが、メソポタミア文明(チグリス・ユーフラテス川流域)のウル遺跡ではないかと考えられています。
山羊や羊などの「命の水」ともいえる貴重な乳が、偶然、土器の中に入った野生の微生物の働きによって、白く美しい固まりと液体に分離することを見つけた、まさにそのときがチーズ発見の瞬間なのかも知れません。
では、日本人とチーズとの出会いはいつからなのでしょうか。記録によると「文武天皇四年(西暦700年)10月(新暦11月)、文武天皇が使いをつかわし’蘇(そ)’をつくらしむ」という記述が残っています。この’蘇(そ)’がチーズの元祖といわれていて、中国から伝わった乳を煮詰めた「酥(そ)」を指しているのではないか、といわれています。ただ、チーズが一般の人々の口に親しまれるようになったのは、ずっと時代の下った第二次大戦後のことです。

2. 乳がどうしてチーズになるの?

乳は絞ってしばらくそのままにしておくと乳酸発酵を始めます。乳酸発酵がどんどん進み、たんぱく質が固まると、ヨーグルトのようにゲル状になり、酸っぱくなると同時にさらなる乳酸菌の働きによって、有害な雑菌の繁殖を抑えてチーズの原型となります。
私たちが知る固いチーズは、乳酸菌とレンネット(凝乳酵素といいます)を加え、水分(ホエイ)を除去して固めて熟成させたものです。このレンネットを加えることで、乳のたんぱく質が分解されて固形になるのです。
その後、さまざまな地域において長い歴史を重ね、いろいろな工夫が加えられた結果、風味や酸味、匂いや硬さ、色や形などが異なる、その地域独自のおいしいチーズとなったのです。

3. チーズの種類

チーズは、主にナチュラルチーズとプロセスチーズの二つに分けることができます。ナチュラルチーズは乳から直接作られるのに対し、プロセスチーズは、いったん作られたナチュラルチーズを溶かし、それを再び乳化剤を加えて固めて作ったものをいいます。
また、ナチュラルチーズにもいくつかの種類があり、日本では外観や硬さにより7種類に分けられることが多いようです。それぞれの特徴は以下のとおりです。

  • フレッシュチーズ:熟成させないチーズの総称で、水分が多く、軽い酸味とさわやかな風味でクセが少ないのが特徴です。クリームチーズやマスカルポーネ。
  • 白カビチーズ:固まった乳(カードといいます)に白 カビを噴霧して熟成させたもので、カマンベールチーズなど軟らかくクリーミーな味わいが特徴です。
  • ウォッシュチーズ:チーズの外皮を塩水や地酒などで洗いながら熟成させたもので、匂いが強く中身はトロリとした軟らかさです。エポワスやタレッジオ。
  • 青カビチーズ:乳に青カビを加えて作ります。空気孔を開けて白カビとは逆に内部から熟成します。塩分が強めで刺激のあるものが多い。ロックフォール。
  • シェーブルチーズ:山羊乳で作られたチーズの総称。独特の酸味と風味を持つものが多いのが特徴です。
  • セミハード(半硬質)チーズ:カードをプレスして水分を38~46%と少なくします。ゴーダやチェダーなどマイルドな味わいが特徴です。
  • ハード(硬質)チーズ:セミハードより水分を少なくして38%以下にします。成熟期間が長くてナッツのような味わいが特徴です。コンテやエメンタール。

4. チーズには豊富な栄養素がぎっしり

本場ヨーロッパでは、「白い肉」と呼ばれるほど、動物性たんぱく質を豊富に含んでいるチーズ。そのほかカルシウムやビタミンA、ビタミンB2、ミネラルなど、とても豊富な栄養素が含まれています。
チーズはカルシウムが豊富で吸収率も高いので、丈夫な歯や骨を生成するのはもちろん、健康的なお肌や髪の毛を維持し、胃腸を整えるなど、さまざまな効果をもたらしてくれます。
一般的に食べると太るなどと誤解されがちなチーズですが、乳糖は水分(ホエイ)に大半が流出するため、低糖質で高たんぱくな、まさに体にも美味しい食べ物なのです。

5. 11月11日は「チーズの日」

冒頭においてご紹介したように、日本における最も古いチーズの記載は、飛鳥時代・文武天皇四年の10月(新暦11月)といわれています。日本全国に使いが出され、チーズの元祖である「蘇」の製造が命じられたことを記念して、新暦11月の、最も覚えやすい11日を「チーズの日」と定めたのだとか。
この11月11日には、各地でチーズにまつわるイベントや催しが開催されていますので、足を伸ばしてみてはいかがでしょう。新たなチーズの魅力に出会えるかもしれませんね。

協力:チーズ普及協議会
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