チューインガム
チューインガム(以下ガム)は西暦300年頃、メキシコでサポディラと呼ばれる木の樹液のかたまりをかんでいたのが発祥とされています。日本に初めてガムが輸入されたのは大正5年。 しかし一般的には広まらず、第二次世界大戦中にアメリカ軍が携帯食糧として持ち込んだことから、戦後の日本でも広く知られるようになりました。近年ガムが健康維持に役立つと注目されています。 ガムをかむことでどんな効果があるのかなど、豆知識を紹介していきます。
1 ガムの種類
ガムの種類は大きく分けて風船ガム、板ガム、糖衣ガムの三つに分けられます。
風船ガムは息を吹き込んで大きく膨らむもので、板ガムは90年代初めまで主流の形状でした。その後、粒ガムの登場で、徐々に粒ガムが主流になってきました。粒ガムは糖類で表面をコーティングした糖衣ガムが主となっています。
また、味も時代の流れとともに、ガムに使われる甘味料としてキシリトールが使われたシュガーレスタイプなども登場。健康志向が高まる近年では、トクホ(特定保健用食品)のガムの人気も高まっています。
2 風船ガムはなぜ膨らむの?
普通のガムは膨らませられないのに、なぜ風船ガムは膨らませられるのか、それは原料の違いにあります。
ガムを作る際には、ガムベースという、細い糸が絡み合った網のような素材が使われています。風船ガムはこの糸が長く、丈夫で伸びやすい素材を使っているので、大きく膨らませることができます。
板ガムや糖衣ガムには、チクルと呼ばれる植物性樹脂が使われ、これは網の目が弱く、膨らませようとしても破れてしまいます。一方、風船ガムの場合、植物性樹脂は使わず酢酸ビニル樹脂を使います。
酢酸ビニル樹脂は、糸が長く、網が丈夫でしかも伸びやすいという素材です。そのため、大きく膨らませることができるのです。
3 かむ回数が減ってきている
今、食事でのかむ回数が減少していることをご存じでしょうか。戦前では1回の食事でかんだ平均回数は1,420回、現代は620回と、半分以下になっているのです。その原因は、食事時間の減少と
柔らかいメニューが多くなったことにあります。小学校低学年では4人のうち3人は1回の食事でかんだ回数が500回未満であり「かめない児童」だといいます。
かむことは、健康を維持するために重要な役割があります。まずは食べ物の消化吸収を良くすること。そして脳の活性化、歯や歯ぐき、あごの骨を丈夫にすること。日頃から、かむ習慣を身につけることが大切です。
4 ガムでかむ習慣を身につける
かむことは、口内を清潔に保ち、身体全体を健康に保つ働きがあります。かむ習慣を身につけるのに役立つのがガムです。
1回のガムをかむ回数は平均550回といわれています。年を取るにつれ、かむ力が衰えてくることがありますが、習慣的にガムをかむことで、
食事の際に重要な咬合力(かみしめる力)の向上が期待できるのです。かむ力の衰えは全身の衰えにもつながり、社会活動ができなくなる(オーラルフレイル)懸念もあるため、かむ習慣をつけることが大切です。
また、子どもの歯並びに悩む人も増加傾向にありますが、それもかむ力が弱くなっているのが原因の一つといわれています。かむ力が強くなると歯がまっすぐに生え、歯並びも良くなるため、子どもにとってもかむ習慣をつけるのは大切なことなのです。
5 ガムの健康効果
ガムの効果はほかにもたくさんあります。かむことで唾液の分泌を促し、唾液の殺菌作用で口内を清潔に保ち、口臭予防ができるほか、肥満の防止や胃や腸の負担を助けて消化を促します。
また、かむことで脳に刺激が与えられ、脳の活性化と血流アップが期待でき、ストレスの緩和や集中力アップ、記憶力向上などに役立ちます。また、眠気防止、運動能力アップ、ダイエットなど、
さまざまな効果があるとの研究結果も報告されています。
ガムをかむことで維持できる健康があります。今は虫歯予防ができるものや歯につきにくいもの、ビタミンが取れるものなど、
さまざまな種類が登場しているので、自分に合ったガムを選ぶのも楽しいものです。ぜひ生活習慣にガムを取り入れ、健康維持に役立ててみませんか。
協力: 日本チューインガム協会
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