スポーツクライミング

スポーツクライミング

人工壁にカラフルな突起物があり、それに手や足をかけ、ロープなどの道具も使わず身ひとつで登る競技で、日本の選手が活躍していますというニュース、最近多く見ませんか。2020年の東京オリンピックの追加競技として正式に承認されたスポーツクライミングです。今回は、そのスポーツクライミングについてご紹介しましょう。

1.スポーツクライミングとは

スポーツクライミングには三つの種目、リード、ボルダリング、スピードとあり、その複合種目として実施されます。
リードはロープで安全が確保された選手が12メートルを超える高さの壁に設定されたコースを登り、制限時間内での到達高度を競う種目です。
ボルダリングは高さ5メートル以下の壁に設定された複数のコースを、制限時間内にいくつ登れたかを競う種目です。各コースとも制限時間内であれば複数回トライできるため、少ない回数で登ることも重要となります。
スピードは高さ15メートルの壁に設定された、予めホールド*の配置が周知された同一条件のルートを駆け登るタイムを、コンマ数秒まで競い合うスプリント種目です。トップレベルの選手は15メートルの壁を男子は5秒台、女子は7秒台で駆け登ります。
IOCに提案されたスポーツクライミングは、通常は単種目として行われるリード、ボルダリング、スピードをすべて行い、これら3種目の合計で順位がつけられるというものです。

  • ホールドとは、壁についている突起物(石)のことです。それぞれの形状によって名称も変わります。

2.競技の醍醐味

  1. リード
    リードは最も長い距離を登る種目であるため「持久力」が勝敗を分ける重要な要素となります。最初から最後まで全力で登り続けられる距離ではないため、最小限の力でコースを攻略し自身の高度を上げていく「技術力」や、コース途中での「回復力」、長い距離の中で自身の動きをいかにコントロールしていくかといった「戦略性」も問われます。
  2. ボルダリング
    ボルダリングは設定されたコースの難易度や強度、不安定度が3種目の中で最も高い種目であり、いかに正しい動きを見出せるかが勝負の鍵になることから、「身体を使ったチェス」とも呼ばれています。そのため、選手はよりダイナミックな動きや、より繊細な動きを身につけ、さらに設定されたコースの攻略方法を見出す「洞察力」が要求されます。
  3. スピード
    スピードは、より速く登れるための「瞬発力」をいかに発揮できるかが重要な要素です。二人のクライマーが隣り合わせで登り、勝ち抜き方式で競うため、どれだけ自分の登りに集中できるかという「精神力」も重要になります。

3.スポーツクライミングの歴史

歴史を遡ると、1940年代後半から1980年にかけて、当時のソビエト連邦が自然の岩場でスピード種目の競技会を開催したのが始まりとされています。1985年、イタリアでは岩場でリードによる初めての競技会が開催され、フランスでは室内に設置されたクライミングウォールにおいて競技会が開催されるなど、徐々に欧州で競技が活発化していきました。
1990年代になると、日本やアメリカなどの欧州以外でも国際大会が開催されるようになり、現在に至る世界選手権やワールドカップ、ユース選手権などの各大会がスタートしました。
当初はリードとスピードの2種目でしたが、1990年代後半にはボルダリングも導入され、現在の3種目体制(リード・ボルダリング・スピード)となりました。

4.日本選手の活躍が期待される競技

黎明期より日本人の活躍は目覚ましく、これまでのワールドカップ個人年間ランキングでは、男子リードで1位を3回、女子ボルダリングで1位を4回、日本人選手が獲得しています。日本はチームとしても上位を保ち、ボルダリングでは2014、2015年と2年続けて国別ランキング1位となっています。
オリンピックでの活躍が期待されます。

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