コーヒー

コーヒー

コーヒーカップに注がれる至福の時間。深くやわらかな香り、少し酸味の効いた、ほろ苦い味。毎日コーヒーを楽しまれる人も多いことでしょう。また、会議が煮詰まったときなどに、「コーヒーブレイクしようか」といって休憩される人も多いことでしょう。
コーヒーは私たちに、味わうことの楽しみ、精神的な安らぎ、また健康や美容に良い効果をもたらしてくれます。今回は、そんなコーヒーの魅力についてご紹介します。

1.コーヒーはいつごろから飲まれたの?

コーヒーが、いつから飲用として供されたかについては、はっきりしていません。エチオピアの羊飼いが発見したとも、イスラム教の聖者が見出だしたともいわれています。しかし、「焙煎した豆から抽出したコーヒー」が登場したのは13世紀ごろのようです。最初は一部の修道者のみが用いる宗教的な秘薬とされていたものが、焙煎によって嗜好品としての特徴を備えると、一般市民にも広がり、中東・イスラム全域からエジプト、トルコを経由してヨーロッパ各地に広まったといわれています。
日本へは、18世紀末に長崎の出島からオランダ人を通じて伝えられたとされています。

2.コーヒー豆の栽培と産地

コーヒーの原料となるコーヒー豆は、コーヒーノキの果実から採取されています。コーヒーノキは、大別すると、エチオピア原産のアラビカ種と、コンゴ原産のカネフォラ種ロブスタに分けられますが、生産量の6割程度をアラビカ種が占めています。
コーヒー豆は約70か国で生産されており、おもに農園でコーヒーノキの栽培と果実の収穫、コーヒー豆の精製が行われています。精製された生豆(焙煎前のコーヒー豆)は、生産国において集積され、選別・等級付けされてから消費国に輸出されます。モカ、ブルーマウンテン、マンデリン、コロンビアなどのコーヒー豆の種類を耳にしますが、栽培された国名や山域、積出港や栽培地などの名称を冠して名付けられるのが一般的なようです。

3.コーヒーのさらなる“味力”?

生産地によって、それぞれの独特な香りと味わいが楽しめるのも、コーヒーのもつ魅力のひとつといえますが、煎り方や挽き方などによっても味や香りが微妙に異なり、その楽しみ方が一層広がっていきます。
コーヒー豆の一般的な焙煎方法では、約200℃にて10分~20分程度加熱処理を行いますが、焙煎の度合いの低いものを浅煎り、高いものを深煎りといいます。浅煎り豆は薄い褐色で、深煎りとなるにつれて黒褐色へと変化して表面に油がにじみ出てきます。浅煎りは香りや酸味に優れ、深煎りは苦みに優れるといわれています。
ブレンドとシングルオリジンの違いも、よく耳にされるでしょう。複数のコーヒー豆を混合したものをブレンド、一種類の焙煎豆のみからなるコーヒーをシングルオリジンといいます。ブレンドは、複数の違った持ち味のコーヒーを混ぜることで、単品ではなし得ない味を作りあげる工程ですが、当然ながら定まった法則があるわけではなく、提供側が独自に考案したレシピに従って行われます。
焙煎されたコーヒー豆は、抽出される前に細かく挽きますが、その挽き方によって、細挽き、中挽き、粗挽きに分かれます。一般的に、細挽きは、「エスプレッソ」など、苦みの濃いコーヒーを楽しむ挽き方、中挽きは、雑味が出にくく、クリアな味わいが出る挽き方、粗挽きは、さっぱりとした、やや酸味の強い味わいの出る挽き方といわれています。
こうした、煎り方、挽き方、産地の異なるコーヒー豆の混合などによって、自分なりの好みを探してみたり、飲み比べをしてみたりするのも楽しいのではないでしょうか。

4.コーヒーは健康にいい?

これまでの研究で、コーヒーは、ただ単に「飲んで美味しい」だけではなく、“からだにも美味しい”効果があることが分かってきています。
コーヒーの成分といえば、「カフェイン」がよく知られていますが、実はポリフェノールの一種「クロロゲン酸」という成分も多く含まれています。この「クロロゲン酸」が、コーヒー特有の苦みや香りを作ると同時に、からだに対しても優秀な働きをもたらしてくれることが最近の研究で明らかにされてきています。その代表的な効果が「抗酸化作用」。簡単にいえば、からだのサビ(活性酸素による酸化)を防ぎ、健康にとって良い影響を与えてくれる成分がコーヒーには入っているのです。コーヒーをよく飲む人(といっても1日に3杯~5杯程度)は、動脈硬化や心筋梗塞、がんの発症率が、飲まない人に比べて低いと報告されています。また、糖尿病や免疫機能の向上、さらには美容の維持にも効果があるともいわれています。
ただ、いくら「からだにいい」からといって、飲み過ぎるのも禁物。カフェインの過剰摂取は覚醒作用と利尿作用をもたらすため、「夜眠れない」とか、「お手洗いが近くなる」などの作用もあります。
「過ぎたるは及ばざるがごとし」。いずれにしても、美味しく飲める適量が、からだにはいいようですね。

協力:一般社団法人 全日本コーヒー協会
住所:〒103-0015
東京都中央区日本橋箱崎町6丁目2番地
HP:http://coffee.ajca.or.jp