クロスカントリースキー

クロスカントリースキー

一般のスキー板より細い2本のスキー板に乗り、雪の積もった野山・平原を歩き、滑走するウインタースポーツです。ゲレンデスキーのように斜面を下るだけでなく、平地・登りも体験でき、またポール(ストック)を使うことで全身運動となり、健康づくりとしても効果的です。

1. 雪上をかけぬけるスピード競技

スキーは北欧地方で狩り用の履物として、生活の手段に紀元前から使われていました。ノルウェーのレエティの岩には、現在のスキー板に近いものを履いている狩人の絵が彫られていて、およそ4500年前のものといわれています。
ゲレンデを滑るアルペンスキーに対して、クロスカントリースキーは平地を進んだり急な坂を登ったりします。
スキー本来の利用目的である雪上での移動手段から生まれた競技で、すべてのスキーの原点ともいえる種目です。
スポーツとしての最初のスキー競技は、ノルウェーのテレマーク地方に発生しました。1800年代にはこの地方の子どもたちは、スラロームやジャンプをして遊んでいて、今でもテレマークという地名は回転の名前に用いられていますし、スキージャンプ競技の着地の姿勢でも有名です。
クロスカントリースキーは、ヨーロッパやカナダでは人気のスポーツです。特に北欧(ノルウェー・スウェーデン・フィンランド)では、子どもからお年寄りまで幅広い年齢層の人たちが日常的に楽しんでいます。
ちなみに1990年代、荻原兄弟の活躍で注目を集めたノルディック複合はジャンプとクロスカントリースキーを組み合わせて競う競技です。

2. 二つの走法

クロスカントリースキーには大きく分けて、クラシカル走法(歩くスキー)とフリー走法(スケーティング)の二つの走法があります。

  1. クラシカル走法
    スキーをはいた脚の平行を保ちながら、左右交互にスキー板を滑らせます。クラシカル種目の競技中にフリー走法をすると失格となります。
    クラシカル走法のレースではコース全般にわたり滑走用の2本の溝が掘られているのが特徴で、フリー走法のレースでも下り坂などの箇所に溝が掘られています。
  2. フリー走法
    スキー板を逆ハの字形に開いて、片足で後ろ方向に雪面を蹴って、もう片方に乗り込み進みます。アイススケートの動きに似ています。
図:二つの走法

3. クロスカントリースキーの用具

コース中に平地や登りの多いクロスカントリースキーでは、使用する用具にも特徴があります。板の幅はアルペンスキーの約半分で、金属のエッジが付いていないため非常に軽くしなやかなつくりになっています。また、スキーと靴はつま先のみが固定され、かかとは固定されていないのがアルペンスキーとの大きな違いです。かかとが上がることにより、平地や登りにおいても、非常にスピーディーに滑ることができます。ポール(ストック)は肩の高さ近くまである長いものを使います。これはポールで雪面を押す力も大きな推進力になるためです。クロスカントリースキー選手は脚だけでなく、腕も使ってスピードを出します。

4. オリンピック種目

クロスカントリー競技の中には六つの種目があり、スキーを左右交互に滑らせフリー走法が禁止された伝統的な走法を用いる「クラシカル」、走法に規制のない「フリー」、さらにクラシカル走法とフリー走法を前後半で組み合わせた「スキーアスロン」、「スプリント(個人/チーム)」「リレー」といった競技が行われます。

協力:(公財)全日本スキー連盟
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