なす
このコーナーでは、私たちの身近な食べ物や飲み物についての豆知識をお届けします。
初夢に見る「一富士、二鷹、三茄子」と縁起物として出てくる「なす」は日本人にとってなじみの深い野菜です。また、なすは和食だけではなくイタリア料理などの洋食にも使われる身近な食材です。
今回は、なすについて取り上げます。
1.なすの歴史と種類
なすはインドが原産といわれており、高温を好む植物です。日本へは中国から入ってきて奈良時代には栽培されていました。
現在よく見られているものは、中長(長卵形)なすや長なすですが、きわめて長い博多長、丸型の賀茂なすなど、長さや形も色々です。仙台の長なす、山形の民田なす、新潟の丸なすなど、地方に特有のさまざまな品種があります。
- 中長(長卵形)なす
品質も優れていて、最も多く出回っています - 大長なす
九州で作られ、全国的に出荷されています。やわらかくて、焼きなす、煮なすに向きます - 小丸なす
ひと口で食べられるくらい小さななすで、山形の民田なす、出羽小なすなどがあり、塩漬けやからし漬けに向きます - 長なす
西日本や東北で作られているなすで、煮ものに向きます - 丸なす
東北から北陸、関西に多いなすで、肉がしまっています。京都の賀茂なすは有名です - 米なす
欧米の品種をもとに育成した大型なすで、へたが緑色をしています。田楽やバター炒めに向きます
2.なすの栄養と機能性
なすに含まれる成分のほとんどは水分ですが、ビタミンKやカリウム、葉酸をバランスよく含んでおり、食物繊維が豊富なため生体調整機能に優れているといわれています。また、なすの鮮やかな紫色の皮に含まれるアントシアニン(ナスニン)やクロロゲン酸と呼ばれる抗酸化成分は、体の老化を抑制する効果が期待できます。
3.なすの収穫時期
かつては露地栽培で夏場を中心に出荷されていましたが、施設栽培の普及で現在では、周年出荷されるようになりました。
4.なすの選び方
なすを選ぶときは、実に張りがあり、色つやがよく紫色が濃いものがよいとされています。また、新鮮ななすは、へたの切り口が新しくとげがチクチクしています。
5.なすの保存法
「なすは風邪をひきやすい」といわれます。風に当たるとしなびてくるので、冷し過ぎないように新聞紙にくるみ、ポリ袋に入れて水分の蒸発を抑え、冷蔵庫の野菜室に入れて早めに食べるのがよいでしょう。
6.なすの上手な料理法
なすをおいしくいただくには、あえる、炒める、揚げる、焼く、漬けると、さまざまな料理法があります。
生で、しその葉と一緒に薄い塩でもむと、味はもちろん、香りも楽しめます。
なすを焼くときは、焦げない程度の強火を用います。弱火で時間をかけると、火がとおるまでに水分が出ていき、一緒にうま味も逃げてしまいます。
協力 : 独立行政法人 農畜産業振興機構
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