ブドウ
ブドウは、生で食べるのはもちろんワインやジュース、干しブドウなど加工品としても私たちに大変なじみ深い果物です。わが国では生食用が中心ですが、世界的にはワイン用に広く生産されています。
1.ブドウの栽培の始まり
ブドウは古代より栽培されていました。古代エジプトの壁画にもブドウ栽培の様子が描かれています。
日本では、諸説ありますが、1186年甲斐国(山梨県)の雨宮勘解由(あめみやかげゆ)によりヨーロッパブドウの甲州ブドウが見いだされ、栽培が始まったとされています。本格的な栽培は、明治時代に欧米から多くの品種が導入されるようになってから各地で始まりました。
2.豊富なブドウの栄養素
ブドウの主成分である果糖とブドウ糖はどちらも体内へ吸収されやすいエネルギー源で、疲労回復に最適です。カリウムも豊富に含まれ、血圧を上昇させるナトリウムを排せつして高血圧を予防するといわれています。
赤ワインは黒色ブドウを原料に果皮を含めて造られます。黒色・赤色ブドウの果皮にはアントシアニン、カテキン、フラボノール等のポリフェノールが含まれています。ポリフェノールは、抗酸化作用があるため、動脈硬化の原因となる活性酸素を除去する作用があります。特に、レスベラトロールは黒色・赤色ブドウの果皮に含まれるポリフェノールの一種です。高カロリー食を与えたマウスでレスベラトロールの投与により過剰なカロリー摂取による有害な作用を防ぎ、寿命を延ばすことが認められています。また、インシュリンに対する感受性も増加させるとされています。肥満や老化に関連した疾病の治療にも応用できるのではと今後の研究が期待されます。
3.おいしいブドウの選び方・食べ方
ブドウは、鮮度が落ちると、一般に果粒に張りがなくなってきます。また、粒が落ちやすくなります。
ブドウの果皮は、農薬ではない白っぽい粉に一面おおわれていますが、これは「ブルーム」といってブドウ自らが出すもので、水分の蒸発を防ぎ、味を守る役割を果たしています。房の上の方が甘い傾向があります。
ブドウは日持ちのいい果物ではありませんが、冷蔵庫に入れると、比較的長持ちします。特に大粒ブドウの「巨峰」や「ピオーネ」は、日持ちがよくありませんので、早く食べるのがおすすめです。
食べるときは、皮をむき、種を出す人も多いですが、皮をむかずまるごと食べると、皮にあるうまみや栄養素が得られます。
協力:国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 果樹茶業研究部門
ホームページ : http://www.naro.affrc.go.jp/laboratory/nifts/index.html