ひじき
お総菜の食材としてお馴染みの「ひじき」は、日本で古くから食用とされている海藻のひとつです。最近では煮物以外にも、サラダ、ちらし寿司、ハンバーグやコロッケなど、さまざまな調理法で食べられるようになっています。今回はその「ひじき」に関する豆知識を紹介します。
1. ひじきについて
ひじきは、日本では太平洋、瀬戸内海、日本海南部などの沿岸に分布しています。波の荒い海岸付近の岩に根の部分を付着させ、はうようにして生育します。食用のため茎や葉を刈り取って採取しますが、根が残っていれば翌年そこから新しい芽が出て、7~7年は生き続けます。
生のひじきは渋味が強いため、そのまま食べることはほとんどなく、水煮、乾燥などの加工が行われます。採取されたばかりのひじきは褐色ですが、それらの加工の行程を経ると黒色になります。
日本で消費されるひじきのうち、約1割が国内産、約9割が外国産です。外国産では韓国のものが多く、最近では中国からも輸入されています。
1984年、三重県ひじき協同組合は「ひじきをもっと食べて、健康に長生きしてください」との願いを込めて、敬老の日(当時)である9月15日を「ひじきの日」としました。
2. ひじきの栄養
ほかの多くの海藻類と同じく、ひじきにはさまざまな栄養成分が含まれています。なかでも食物繊維とミネラルは豊富に含まれています。
- 食物繊維
小鉢1杯分のひじきの煮物で使われる干しひじきを5gとすると、それだけで約2gの食物繊維をとることができます(18歳以上の男女の食物繊維の食事摂取基準による1日あたりの目安量は、15~20g)。 - ミネラル
ひじきにはさまざまなミネラルが含まれています。特に、現代の日本人に不足しがちだといわれているカルシウムや鉄が、豊富に含まれています。
カルシウム | 鉄 | カリウム | マグネシウム | 食物繊維 | |
---|---|---|---|---|---|
ひじき (干しひじき) | 1,400mg | 55.0mg | 4,400mg | 620mg | 43.3g |
牛乳 | 110mg | 微量 | 150mg | 10mg | 0(推定値) |
小松菜 | 170mg | 2.8mg | 500mg | 12mg | 1.9g |
ごぼう | 48mg | 0.7mg | 320mg | 54mg | 5.7g |
(文部科学省「五訂増補日本食品標準成分表」より作成)
3. ひじきに含まれるヒ素について
2004年、イギリス食品規格庁が、ひじきにはヒ素が含まれるので食べないよう、イギリス国民に対して勧告しました。これを受けて日本の厚生労働省は「日本人の通常の食生活であれば問題ない。海藻中のヒ素による健康被害の報告はなく、また、ひじきは食物繊維や必須ミネラルも含んでいる。ひじきを極端に多く摂取するのではなく、バランスのよい食生活を心がけてほしい」との見解を示しています。
なお、乾燥ひじきを水で戻す際、ひじきに含まれるヒ素が水に流出し、減少するともいわれています。
協力 : 日本ひじき協議会
ホームページ : http://www.hijiki.org/