ホッケー

ホッケー

「ホッケー」と聞くと、ほとんどの人は「アイスホッケー」を思い浮かべるでしょうが、実は単にホッケーという場合にはフィールドホッケーをさします。ゴム製のパックを、時には体をぶつけて奪い合い「氷上の格闘技」ともいわれるアイスホッケーとは異なり、テニスやゴルフなどと同様にイギリスから伝わったフェア精神を重んじるスポーツです。ヨーロッパではサッカーと肩を並べる人気スポーツで、インドでは国技となっています。今回はそんなホッケーをご紹介しましょう。

1. ホッケーとは

先端の曲がったスティックと硬球を使い、芝の上で11人ずつの2チームが相手ゴールに向けて、互いにそのボールを打ち込もうと競い合うスポーツです。
男女とも、競技フィールドはバックライン55m、サイドライン91.4mの長方形で、サッカー場よりもひとまわり小さいサイズです。
ゴールは「ハンドボール」のゴールとほぼ同じような大きさで、ゴール前に「サークル」と呼ばれるほぼ半円のシューティングゾーンがあり、その中からシュートを打たないと得点とみなされません。
ゴールキーパー以外は手を使うことができず、スティックでボールをコントロールします。シュートを除いて、基本的にボールを上げてはいけないので、攻撃側はドリブル、パスを使っていかに相手守備陣をかいくぐって得点するか、守備側はそれをどう防ぐかが、最大の見所となります。
スティックは木製で、長さは選手の好みによって多少の違いはありますがおよそ1m弱、ボールはプラスティック製で野球の硬球ほどの大きさですが、それよりも硬く、シュート時のボールスピードは時速150~200㎞近くにもなります。ですから、ゴールキーパーはヘルメット、レガード*、プロテクター、肘パットなど頑丈な防具で身体を守ります。
試合での選手交代は自由で、なおかつ何回でも交代できるので選手交代のタイミングが試合を大きく左右します。
国際大会をはじめとした大会は、各15分の4クオーター制(計60分)で実施されます。
また、試合は2人審判で行われ、どちらも主審です。各審判はフィールドの半分について、主たる責任を持ちます。

  • 脚(すね)部を保護する防具

2. ホッケーの歴史

ホッケーの歴史は古代エジプトにまでさかのぼります。紀元前2500年頃ナイル川流域で発見された墓の壁画にホッケーをしている姿が描かれているのです。また、紀元前1000年頃のエチオピアにも、その原型を見ることができます。
 近代ホッケーは、19世紀半ばに、イギリスのクリケット選手たちが、試合のできない冬場に始めたのが基礎とされています。1871年には最初のホッケークラブが結成され、1886年にはロンドンで協会が発足し、この協会発足を機に、統一ルールのもと競技が行われるようになりました。
オリンピック史上にホッケーが登場したのは、1908年第4回のロンドン大会で、1912年のストックホルム大会、1924年のパリ大会を除いて毎大会実施されています。

3. 昔のオリンピックでは、アジアの国が強かった!日本も銀メダル

インドは、19世紀から第二次世界大戦の後までイギリスの植民地だったため、フィールドホッケーやクリケットなどイギリスから移住した人たちに人気のあったスポーツが盛んに行われるようになりました。1920年代から80年代までのインドは世界最強と呼ばれて、オリンピックでは金メダル8個を含むメダル常連国でした。また、隣国のパキスタンも同じ植民地であったことから、金メダル3個を含むメダル常連国でした。
日本へは、1906年、英国人牧師ウィリアム・T・グレーが、慶應義塾大学で教え始めたことがはじまりです。1932年のロサンゼルスオリンピックにおいては、アメリカ大陸での開催という事情もあって、ホッケーの競技参加はアメリカのほか、イギリス領のインド、日本の3か国でした。日本は強豪のインドに負けましたが、開催国の意地にかけて向かってきたアメリカを9-2のスコアで圧倒し、見事銀メダルに輝いたのです。
最近は施設や近代トレーニングが整っているヨーロッパ勢に差をつけられていますが、日本をはじめとするほかのアジアの国々も2020年東京大会に向けて日々強化に励んでいます。

4. フェアプレー精神 ~セーフ・クリーン・フェア~

これがホッケーのキャッチフレーズです。イギリスから伝わったテニスやゴルフなどと同様に、ホッケーもフェア精神を重んじるスポーツです。そのため、スティックを振り回す危険性をはらんだスポーツにもかかわらず、乱闘シーンはまったくといっていいほどありません。そうした精神ゆえに、大正13年には、皇太子殿下(後の昭和天皇)の意思で、皇室対旧陸軍戸山学校のホッケー試合が行われたことがあったそうです。

公益社団法人 日本ホッケー協会
住所:〒150-8050
東京都渋谷区神南1-1-1岸記念体育会館内
HP:https://www.hockey.or.jp/