アイスクリーム
お菓子や飲み物を対象とした「好きなデザート」調査で、不動の人気ナンバー1に君臨する“キング・オブ・デザート”「アイスクリーム」。手軽に食べやすく、形とフレーバーの種類がたくさんあることが人気の要因です。今回は「アイスクリーム」についての豆知識を紹介します。
1.アイスクリームの歴史
食品を保存するために利用された雪や氷を、やがて、冬に貯蔵しておき夏に食べるようになりました。これがアイスクリームの始まりです。古代のアイスクリームは今のシャーベットのようなもので、お菓子としてではなく疲れた体を元気にする「健康食品」として利用されていました。アラブで、古代ギリシャやローマで、そして中国でも、この甘い氷菓は次第に人々の心を虜(とりこ)にし、王侯貴族や裕福な人たちに嗜好品として愛されるようになっていきます。16世紀の半ば、イタリアで冷凍技術の発見により天然氷を利用しないシャーベットがつくられるようになりました。また、イタリアのカトリーヌ・ド・メディチとフランス王アンリ2世の婚礼により、当時、イタリアで食べられていたアイスクリームがフランスへ伝わり、さらにヨーロッパ各地にも広がっていきます。1686年、イタリアのシチリア島出身の菓子職人フランソワ・プロコープが、パリに「カフェ・プロコープ」を開店。1720年には、今日のアイスクリームの原型ともいえるホイップクリームを凍らせた「グラス・ア・ラ・シャンティ」や、卵を用いた「フロマージュ・グラス」などをつくり出し、乳成分たっぷりの新しいタイプのアイスクリームをもたらしました。
2.アイスクリームと日本人
日本人とアイスクリームの出会いは江戸末期に幕府が派遣した使節団が訪問先のアメリカで食べたのが最初で、そのおいしさに驚嘆したといわれています。そして明治2年(1869年)、日本で最初のアイスクリームが横浜でつくられます。文明開化の波に乗り、日本のアイスクリームの歴史は始まりました。
3.おいしさの秘密
アイスクリームは凍っているのになめらかな口あたりが特徴です。その秘密は空気。アイスクリームに混ぜられた空気の泡や脂肪の粒子が冷たさを伝えにくくし、独特の組織とソフトな口あたりになります。
アイスクリームは脂肪やタンパク質、糖類などの成分と水、そして空気からできています。組織を拡大すると、氷や脂肪球、気泡などが細かく均一に分散した状態になっています。口に入れるとサッと融けるアイスクリーム特有の口あたりはこの組織から生まれます。
アイスクリームのコクのある風味は、よい組織と適度な粘りをもつボディから生まれます。その決め手となるのが「乳脂肪」です。乳脂肪はアイスクリームにミルクのフレーバーとコクを与え、なめらかな組織と粘りと硬さのある良好なボディをつくります。乳脂肪の含有量が適度に高いほど、コクのあるまろやかな風味ときめ細かなアイスクリームになります。
4.温度管理
アイスクリームは温度が高くなると凍っていた水分が融け始めます。温度が-25℃から-15℃になると、氷結率が91%から85%になり、5%以上の氷が融けます。再び温度が下がると融けた水分が氷となります。温度変化が頻繁に、長期間に渡って起こると氷の結晶が徐々に大きくなり、ザラザラした食感となり、アイスクリームはおいしくなくなります。
5.家庭での保管方法
-18℃以下で保管することが基本です。家庭の冷凍庫は扉の開け閉めが多く、庫内の温度変化も大きくなりがちです。長く保管すると氷の結晶が大きくなり、食べたときザラついておいしくなくなります。できるだけ早く食べることがお勧めです。
6.アイスクリームでおいしく解決
カルシウムはからだにとって重要な働きをもちますが、体内ではつくることができず、食品から取るしかありません。カルシウムの多い食品を一度にたくさん食べても、吸収できる量は限られるので、毎日コツコツとることが大切です。今の食生活にアイスクリームを1日1個プラスするだけで、カルシウムの摂取量をおよそ140mg増やせます。毎日の食事のバランスを考えながら、アイスクリームの健康価値を上手に、おいしく、役立てられます。
協力:一般社団法人日本アイスクリーム協会
住所:〒102-8184
東京都千代田区九段北1-14-19 乳業会館
HP:https://www.icecream.or.jp/