かつお節

かつお節

和食に欠かせない「かつお節」。かつお節から取れるかつおだしは、和食のだしのベースであり、豊かな風味とうま味をもちます。かつお節は、うま味だけではなく、健康に必要な栄養が詰まっている食材です。今回は、「かつお節」についての豆知識を紹介します。

1. かつお節ができるまで

かつお節は非常に手間のかかる食品で、ものによっては完成まで半年以上かかるものもあります。

  1. 生切り【頭切り】・・・原料のカツオの頭と腹身を切り取り、内臓を除去します。
  2. 生切り【身卸し】・・・カツオの身を三枚に卸します。「亀節(かめぶし)」の場合は、生切り作業はここまでとなります。
  3. 生切り【合断ち】・・・三枚に卸したカツオの身を、背中側(雄節(おぶし))と腹側(雌節(めぶし))に血合いを境に切り分けます。カツオの身は4本となり、総称として本節と呼ばれます。(雄節2本、雌節2本)
  4. (かご)立て・・・生切りしたカツオの身を丁寧に煮篭に並べます。この作業で節の形が決まるため、非常に大切な作業となります。
  5. 煮熟(しゃじゅく)・・・90℃~95℃程度のお湯で約60分~90分間煮込みます。
  6. 骨抜き・・・カツオの身を冷まし、すべての骨を取り除きます。雄節の皮を1/2、雌節は1/3、亀節は1/2剥ぎ取ります。この状態のものを「なまり節」といいます。
  7. 修繕・・・カツオのすり身を、身の隙間や亀裂に埋め込みきれいに成形します。こうすることによって、焙乾(ばいかん)後、節がきれいに仕上がり、カビ付け時のカビの侵入が防止されます。
  8. 焙乾・・・ナラ、クヌギ、カシなどの堅木の薪を燃やし、節を乾燥させる作業です。焙乾は1日に4~5回薪を焚き、夜には余熱で乾燥させます。この作業を2~3週間繰り返します。この状態のものを「荒節」といいます。
  9. 削り・・・荒節の表面に付着したタール分と、にじみ出た脂肪分を削り除く作業です。この状態のものを「裸節」といいます。
  10. カビ付け・・・水分減少、脂肪分解し香味を引き出します。2~3週間で青緑色の一番カビが生え、天日干しで乾燥させ、再びカビ付けをします。この作業を3~4回繰り返し、本枯節ができあがります。日乾(日に干すこと)と倉庫での熟成を何度も繰り返し、出荷します。

2. かつお節のうま味

かつお節は、和食を代表するうま味の三大成分のひとつといわれているイノシン酸を多く含み、およそ20種類に及ぶアミノ酸の相乗効果によって、うま味を生み出しています。ちなみに「かつお節のイノシン酸」と「昆布のグルタミン酸」を合わせることで、とても強いうま味が生まれます。

3. かつお節の栄養と健康

かつお節は、人の体内でつくり出せない9種類の必須アミノ酸を豊富に含んでおり、かつお節を食べるだけですべての必須アミノ酸をとることができます。また近年、アミノ酸が結合して作られた「かつお節ペプチド」が注目されており、血圧の上昇を抑える効果や疲労を回復する効果、集中力を高める効果があるといわれています。
また、料理のだしがしっかり効いていると、塩や醤油の味付けを薄くすることができ、「美味しく減塩」することができます。

4. 縁起物としてのかつお節

かつお節はその切り口が、松の木の年輪に似ていることから、松の気高さを讃える意味で「松魚節」と呼ばれています。また「勝つ魚」「勝男節」とも呼ばれ、昔から縁起の良いものとされてきました。特に、結納や結婚式では、背肉から作る「雄節」と腹肉から作る「雌節」を合わせると夫婦一対となり、その形が亀の甲に似ていることから縁起の良いものとされ、「結婚式の引出物」として使われています。
また、かつおは「勝つ男」、節は「武士」に例えて「勝男武士」(かつおぶし)に通じるため、元気な子に育つようにと「出産」や「端午の節句」の内祝に、「勝つ魚」に由来して「七五三」「入学祝い」「快気祝い」などの贈り物として広く使われています。

協力:枕崎水産加工業協同組合
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