弓道

弓道

弓道は、他の競技と多少異なり、相手は人でなく的であるため、一人でも楽しむことができます。
素朴で親しみやすく、年齢や男女を問わず、それぞれ自分の体力に応じた強さの弓を使用することで、誰にでもできる武道、スポーツです。今回は、弓道についての豆知識を紹介します。

1. 弓道の歴史

日本の弓の歴史は古く、石器時代の弓と思われるものが発見されています。
心身鍛練の武道としての弓道は、江戸時代に確立され、大正、昭和の時代には学校教育として授業やクラブ活動に採用されていました。その後、第二次世界大戦の終戦にともない、一時的に武道の授業は禁止されてしまうこととなりますが、昭和26年に解禁され、教育的意義、体育的意義が改めて認められたことにより、今日の学校体育における弓道へとつながっています。

2. 射法(射術の法則)

弓を引く動作を八つの節に分けて「射法八節」といい、一つ一つを正しく組み立てることになっています。この八節は別々のものではなく、始めから終わりまで一連の動作で一貫した流れのように行わなければなりません。
一、足踏み 二、胴造り 三、弓構え 四、打起し 五、引分け 六、会 七、離れ 八、残心(残身)
これを正確に行うことによって動作も美しく、的中率は高くなります。弓には照準も無く、自分の体感だけを頼りにしているので、周囲の状況、対戦相手の的中等に影響されやすくなります。物事に動じない、いわゆる「不動心」を養い、淡々とした平常心で行射できるよう修練しておくことが大切です。

3. 道具について

伝統的な製法を受け継いだ職人が自然素材を用いて作成していますが、近年安価で管理しやすい科学素材の弓具も開発され、普及しています。安全に留意して練習や試合をするため、また、用具の十分な性能発揮のためにも個人で管理・工夫します。それは伝統的な弓道理解のための一助にもなります。

  • 弓:
    弓の長さは221cm(7尺3寸)を基準とし、射手の身長または競技の種類により若干の長短を認められています。弓には照準のための装置や目印を付けてはいけません。竹製・グラスファイバー製などがあります。
  • 矢:
    自身の腕の長さに合わせた矢を使用します。竹製・アルミ・カーボン素材があります。
    一手(2本)を基準として、羽根の向きにより甲矢(はや)、乙矢(おとや)と呼ばれます。競技では、甲矢を先に引くことになっています。
    図:道具について
  • 弦:
    弓の長さにより弦にも長短がありますが、切れることを予測して、必ず予備の弦を持ちます。
  • ゆがけ(ゆがけ):
  • 弓を引くための道具で、鹿革製で手袋状のものです。
  • 服装:
    弓道衣(白筒袖)、袴、白足袋。女性は胸当てを用意します。

4. 競技のルール

近的競技と遠的競技があり、個人戦や団体戦にて競技が行われます。
近的競技 射距離:28m 的:直径36cm(一尺二寸)の霞的かすみまとまたは星的ほしまと。順位決定には直径24cm(八寸)の的を用いることもあります。
遠的競技 射距離:60m 的:直径100cmの霞的または得点的。順位決定には直径79cmまたは50cmの霞的を用いることもあります。
射手は一回に2射(一手)、または4射(二手)します。
勝敗は、「あたり」と「はずれ」のみで判定し的のどこに的中しても同じである的中制、得点的を使用し得点を競う得点制、的中だけではなく、射形、射品、態度などを総合して審判員が採点する採点制などの方法により決定します。

図:競技のルール

5. 主要な大会

毎年9月に開催し、弓道日本一を決める全日本弓道選手権大会をはじめ、多くの全国大会が開催されています。また、平成22年からは4年に1度の世界弓道大会が開催されており、世界へと広がっています。

協力:公益財団法人全日本弓道連盟
住所:〒150-8050
東京都渋谷区神南一丁目1番1号
岸記念体育館内
HP:https://www.kyudo.jp/