びわ(枇杷)

びわ(枇杷)

初夏になると青果コーナーに並び始めるびわは季節感を感じさせてくれる果物のひとつです。ほんのりとしたオレンジ色で、みずみずしく食べるとさわやかな甘みが特徴です。今回は、そんなびわについての豆知識をお届けします。

1. びわの歴史

びわの原産は中国大陸で、6世紀にはすでに栽培が行われていました。日本においても野生種は自生していましたが、762年に記された正倉院の書物にびわについての記述があるものが最も古い文献とされています。
日本で栽培が始まったのは江戸時代の後期に入ってからですが、当時の果実は球形の小玉で、現在のような卵形で大玉のびわは江戸時代の末期に中国から導入されました。

2. びわの特徴と生産地

昔は、あちこちの庭先で見かける身近な果実だったようですが、今では、傷みやすいことなどから、高級果実として扱われています。
また、キウイやメロン、洋ナシなどのような追熟させて美味しくなる果物ではありません。買って、すぐに食べるのがよいようです。
現在の主な生産地は、長崎県が第1位で、千葉県が第2位、鹿児島県、愛媛県、香川県などが続いています。
びわは亜熱帯および温帯原産の果樹で、年平均気温が15度以上で、冬季の最低気温が-3度以上の地域が栽培適地とされ、日本での栽培は千葉県以西の西南暖地に限られています。
露地栽培のびわの主な出荷時期は5月と6月ですが、九州地域で盛んに行われているハウス栽培のびわは、早いものは1月から出荷が始まります。

3. びわの種類

現在栽培されている主な品種に以下のものがあります。

  • 茂木(もぎ)
    江戸時代、長崎で一人の女性が唐びわ(中国から輸入された果実)の種子をもらい受け、その種子をまいたことが始まりとされます。長崎市茂木地区で栽培が普及したことからこの名がつきました。
    長崎県をはじめ西日本で多く栽培されている品種です。
  • 長崎早生(ながさきわせ)
    寒さに弱いことから、ハウスで栽培されています。 収穫は、早い年には1月にされることもあります。
    果肉は柔らかく、みずみずしい上品な甘さが特徴です。
  • なつたより
    平成21年に品種登録され、大玉で果肉が柔らかくジューシーで、糖度が高いという特徴があります。収穫時期は5月中下旬で、長崎県を中心に栽培が広がっています。
  • 田中
    明治12年頃に植物学者であった田中芳雄氏が、長崎から東京に持ち帰り育成したのが始まりとされています。
    果実は大きく、整った釣り鐘型で、果実に光沢があって、完熟すれば甘味と酸味のバランスのとれた品種です。
  • 大房(おおぶさ)
    千葉県の富浦町で多く生産されている品種で、寒さに強いのが特徴です。
    果実は大きく、酸味が少なく、ほどよい甘みで果汁も豊富です。

4. びわに含まれる栄養

びわは、β-カロチンやβクリプトキサンチンを多く含んでいます。特にβクリプトキサンチンは肝機能障害や動脈硬化、骨密度低下のリスクを軽減するとされています。
ちなみにびわの葉は昔から腰痛や腹痛など、患部に当てると痛みに効くとして民間療法に利用されていたそうです。

協力:長崎県農林部農産園芸課果樹班
住所:長崎県長崎市江戸町2番13号
電話:095-895-2944
HP:https://www.pref.nagasaki.jp/section/nosan-en/