山登り

山登り

山ガール(登山ファッションも楽しむ女性)に、中高年登山者の増加など、山に親しむ人が多くなってきました。それに伴って、山登り中の事故のニュースも多くなったような気がします。やはり自然が相手、油断は禁物です。なお、平成28年から日本の国民の祝日の一つとして8月11日が「山の日」となります。第1回目の「山の日」には、長野県上高地で、記念の全国大会が開催されます。

1. 山登りが健康によいといわれる理由

山登りは、脂肪と炭水化物を酸素で燃やしてエネルギーを生み出す有酸素運動です。特に脂肪は、山登りのような低~中強度の運動を長く続けたときに最もよく燃えるといわれています。そうすると、生活習慣病の原因となる余分な脂肪の蓄積を防ぐことができます。また、脂肪を燃やすときには酸素が必要となり、呼吸循環系が鍛えられます。有酸素運動は血管にコレステロールの沈着を防いだり、すでに沈着したコレステロールを取り除き、血流をよくすることができるのです。
また、山登りは、大自然に身を置くことで自然を肌で感じ、体の各感覚器が自律神経のバランスを整え、体や脳にリラックス効果をもたらしてくれます。自律神経がリラックスすると、副交感神経の働きが活発になり、それにより胃腸の消化活動も活発になり、睡眠の促進、食欲増進、便秘の改善にもつながります。
山登りは、ダイエット、ストレス解消はもちろん、糖尿病や高血圧、脂血異常症、脳卒中、自律神経失調症、心身症、頭痛、軽いうつ病の予防・改善など、ざっとこれだけの効果があります。実は山登りは究極の「有酸素運動」、健康増進にはまたとない運動です。

2. 準備のポイント

  • 事前調査
    最新情報はインターネットから。ホームページには写真があったりします。また、水場の有無をチェックして少しでも荷物を軽くしましょう。
  • 服装
    夏は吸湿・速乾性のある化学繊維やウールのアウトドア用を、乾きにくい綿素材は体温が奪われるためNGです。冬は保温性の高いものを選びましょう。
  • 持ち物
    忘れがちな雨具は防水性と透湿性がよいものを用意しましょう。靴は運動靴ではNG、登山用を必ず履きましょう。水筒を持つことは当然ながら、地図とコンパスも必須です。
    次に、ヘッドライトは電池式がお勧めです。万一のために予備電池も必ず携帯しましょう。
    次に、万が一の連絡手段確保のために携帯電話を持ちましょう。山では電波の届く範囲が限られるものの、少し場所を移動することでつながることもあります。通じたら、立ち止まって話し、その場を動かないことです。携帯で通報していることを最初に伝えましょう。
    最後に行動食です。シロップやゼリーなど吸収の早い液状の方がお勧めです。
  • 出発前
    トイレで用をたしておきましょう。登山口の位置、指示看板の確認もしましょう。ストレッチ中心の準備運動も忘れずにしましょう。

3. スタート後のポイント

まずは、クマとかハチに注意、近づかず避けることです。
次に、45分歩いたら15分休むなど定期的に休憩タイムをとり、水分を補給することを習慣づけましょう。水分は電解質のイオンを含んだスポーツドリンクで補給しましょう。ただ、トイレは我慢しないようにしましょう。新陳代謝が低下し、高山病を発症しやすくなります。
歩き方のポイントはゆっくり歩くことです。歩きながら他人と話が続けられる程度の呼吸の速さが有酸素運動の範囲の上限です。これ以上の運動量では無酸素運動の領域に入り、筋肉に乳酸がたまって疲労し、筋肉が動かなくなってしまいます。
バテてしまった場合には、まず座って水分や行動食をとってエネルギー補給します。登山中はエネルギーを多く使うため、一度にたくさんとらず、こまめに少しずつ補給しましょう。特に炭水化物は早くエネルギー源になり、ブドウ糖など甘いものは即効性があります。また、軽くストレッチやマッサージをしたり、冷やしたりすると楽になります。炭水化物がなくなると、単に筋肉の疲労を起こすだけでなく、敏しょう性、平衡性などの運動能力や視覚、聴覚などの感覚能力、思考力などの精神的な活動能力が低下します。速やかに下山することも考えましょう。最後に、強い太陽光のときは、直射日光を避け、熱中症に気をつけて、木陰で涼むなりしましょう。やけどにも注意して肌を直射日光にさらさないように、あるいはその逆に、雨等に濡れたまま風に打たれると、夏でも低体温症になる危険があります。注意点を守って、楽しく山登りしましょう。

協力:公益社団法人日本山岳協会
住所:〒150-8050
東京都渋谷区神南1-1-1 岸記念体育館4階
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