サンマ

サンマ

秋の味覚として、まず思い浮かぶ魚はサンマではないでしょうか。漢字で「秋刀魚」と書くようにまさに秋の魚です。古典落語「目黒のさんま」にも登場するように、古くから庶民の味として親しまれているサンマについて取り上げます。

1. サンマの呼び名

サンマはダツ目サンマ科サンマ属の魚で、学名を「Cololabis saira(コロラビス サイラ)」といいます。また日本国内でも地方により、「サイラ」(西日本各地)、「セイラ」(長崎県、壱岐)、「カド」(三重県、伊勢湾)、「バンジョ」(新潟県、佐渡)のようなさまざまな呼び名があります。ただ近年、地方でも、こうした呼び名はあまり聞かれなくなっているようです。
サンマの語源については諸説ありますが、幅が狭く細長で真っすぐな魚の意の「狭真魚(サマナ)」から転じたというのが有力です。

2. 秋のサンマがおいしい理由

サンマは季節によって広い範囲を回遊します。冬から春にかけて成長しながら太平洋を北上し、産卵のため北の海で動物性プランクトンをたっぷり食べます。えさを食べ丸々太ったサンマは、産卵を終えると夏から秋にかけて日本列島を沿うようにして南下します。そのため、この時期にとれるサンマは多くの脂肪分を蓄えています。南下を続けるうちに脂肪は徐々に減少していくため、南下を開始したころに北の海でとれるサンマは特に脂がのっておいしいといわれています。

3. サンマの栄養

サンマに含まれるたんぱく質は、筋肉や血液、骨などの合成に必要な必須アミノ酸をバランスよく含む良質なものです。
旬のサンマには脂肪が多く含まれますが、それには多価不飽和脂肪酸のEPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)が含まれます。EPAには血液中の悪玉コレステロールを減らし、血液をサラサラにする働きがあり、動脈硬化、脳梗塞、脳卒中などの病気の予防・改善に役立つことが明らかになっています。DHAにもEPAと同様に血液をサラサラにする働きがあり、さらに脳の発達の維持効果を発揮することから、学習機能の向上、脳の老化防止に効果があることが知られています。これらは皮や内臓にも多く含まれています。ビタミンA、B2、D、Eやカルシウム、鉄分も豊富です。これらのビタミンやミネラルは「血合い」と呼ばれる皮に近い茶褐色の肉に多く含まれています。

4. おいしいサンマの選び方

頭から背中にかけて盛り上がり、厚みのあるものの方がより脂がのっています。魚は内臓から悪くなるため、腹が硬いものは新鮮です。目のまわりに濁りがなく透明なもの、尾をもって名前とおり刀のように真っすぐ立つものも新鮮です。

協力 : 釧路市漁業協同組合
ホームページ : https://www.gyokyou.or.jp/