シジミ

シジミ

シジミといえばアサリとならんで、みそ汁の具などとして大変なじみのある貝ではないでしょうか。縄文時代の貝塚から貝殻が発見されたり、落語「しじみ売り」にも登場したりするように、古くから日本人にとって身近な食材です。今回はシジミについて取り上げます。

1.シジミの種類

シジミは淡水あるいは汽水域(海水と淡水が混ざり合う水域)にすむ二枚貝です。日本に生息している代表的なシジミは、ヤマトシジミ、マシジミ、セタシジミの3種です。見た目は大変よく似ています。
ヤマトシジミは全国の河口や湖などの汽水域に生息しています。市場に出回るシジミのほとんどはこのヤマトシジミです。
マシジミは淡水にすみ、水田周辺の小川などに見られましたが、農薬の影響、農業用水の整備など環境の変化によりあまり見られなくなってしまいました。
セタシジミは琵琶湖のみに生息しており、琵琶湖でのシジミ漁の対象です。漁獲量は少なく、琵琶湖周辺のみで流通しています。

2.シジミの成長

小さな貝というイメージがあるシジミですが、成長には時間がかかるようです。生息環境により異なりますが、日本一のヤマトシジミの産地である島根県宍道湖(しんじこ)では、漁獲する大きさ(貝殻の横幅17ミリメートル)になるには通常3年程度かかります。
ヤマトシジミは水温20~25℃の春季・秋季に最も成長します。条件が良く漁獲されなければ成長を続けて大きくなり、40~50ミリメートルにもなります。寿命ははっきりしていませんが、10年以上は生きると考えられています。

3.シジミの栄養

シジミにはたんぱく質を作るアミノ酸がバランスよく含まれています。古くから「シジミが肝臓によい」といわれているのは、タウリン、アラニン、オルニチンなどの肝臓の働きを助けるアミノ酸が含まれているからと考えられています。
また、貧血に効果のある鉄分をはじめ、カルシウム、亜鉛などミネラルも豊富に含まれます。赤血球を増やすビタミンB12など、ビタミンも豊富です。

表 100グラムあたりに含まれる栄養素の比較
  カルシウム 亜鉛 ビタミンA
βカロティン
ビタミンB2 ビタミンB12
シジミ 130mg 5.3mg 2.1mg 110μg 0.25mg 62.4μg
アサリ 66mg 3.8mg 1.0mg 21μg 0.16mg 52.4μg
ハマグリ 130mg 2.1mg 1.7mg 25μg 0.16mg 28.4μg

日本食品標準成分表2010より

  • μg(マイクログラム)=100万分の1g

4.シジミをおいしく食べるには

シジミを砂抜きするときには、水1リットルに10グラム程度の食塩を入れるとよいでしょう。塩分があることでシジミの体内のうま味成分が増えます。
砂抜きしたシジミを冷蔵庫に数時間入れておくと、シジミのうま味成分がさらに増え、おいしくなります。シジミは冷凍しても味は落ちません。冷凍すると生のシジミより汁にしたとき溶け出すうま味成分はむしろ増えます。冷凍庫の保存期間は6か月程度までできます。

協力 : 島根県水産技術センター
ホームページ : https://www.pref.shimane.lg.jp/suigi/