イチゴ
イチゴのショートケーキは、老若男女を問わず日本人の郷愁を誘うケーキの代表格でしょうか。スイーツにもイチゴがよく使われています。今回は、子どもから大人まで人気があるイチゴについて取り上げます。
1. イチゴは果物ではない!?
農林水産省では、果物を、生産や出荷の統計を取るうえで果樹として分類しています。果樹は、木本性などの永年作物のことをいいます。その意味では、イチゴ、メロン、すいかなどは野菜に分類されますが、果実的な利用をすることから果実的野菜として扱っています。
意外なことがもうひとつ、イチゴはバラ科の植物です。イチゴの花は一重咲きで、普段目にする八重咲きのバラの花とは、似ても似つきませんが、野生種に近い一重咲きのバラと比べるとそっくりです。
2. イチゴのルーツ
ヨーロッパではすでに石器時代から野生のイチゴを食べていたようです。また、日本でも野生のイチゴであるシロバナノヘビイチゴとノウゴウイチゴが食べられていたようです。
現在、栽培されているイチゴは、18世紀にオランダにおいて、北米東部原産のフラガリア バージニアナと、南米チリ原産のフラガリア チロエンシスが交雑してできたオランダイチゴです。
日本にオランダイチゴが伝来したのは、江戸時代末期です。明治初期になると栽培用の品種がアメリカから導入されましたが、日本の気象に合わなかったため栽培は広がりませんでした。
日本で栽培が広まったのは、国内初のイチゴ品種「福羽」が誕生してからです。この品種は、明治時代に福羽逸人が外国から種子を取り寄せ育成したもので、日本の気象風土によく合ったため栽培が広がりました。
その後さまざまな研究機関でイチゴの育種が行われ、「宝交早来」・「麗紅」・「女峰」・「とよのか」・「とちおとめ」など数々の品種が誕生しました。
3. イチゴの選び方
イチゴは形より、色・つや・香りです。ヘタが濃い緑色で、実は全体に鮮やかな紅色でつややかなものがよいようです。また、果肉に張りがあって粒の大きいものがおいしいようです。
4. イチゴをおいしく食べるには
イチゴの食べごろは短いので、長期保存に向きません。その日の内に食べ切りましょう。
しかし、どうしても余ってしまった場合は、容器に入れ、空気に触れないようにきちっとラップをかけ、冷蔵庫に入れて翌日に食べ切りましょう。
5. イチゴの栄養
イチゴはビタミンCの宝庫です。イチゴ100g中62mgも含まれています。意外ですが、オレンジやグレープフルーツ、みかんよりも多いのです。
さらに食物繊維も多く含まれています。100g中1.4gもあり、これはバナナよりも多いのです。
また、妊娠・授乳中の女性に大切なビタミンである葉酸も豊富に含まれています。レバーやうなぎに多い葉酸ですが、果物の中では、イチゴに多く含まれていて、100g中90mcgが含まれています。1日に必要といわれている240mcgからみれば少ないですが、手軽に食べれるイチゴは、妊娠・授乳中の女性にはお勧めです。
協力:栃木県農業試験場いちご研究所
住所:〒328-0007 栃木市大塚町2920
0282-27-2715
ホームページ : http://www.pref.tochigi.lg.jp/g61/index.html