さつまいも

さつまいも

さつまいも、じゃがいも、里芋、ニンジン、大根などは身近な根菜類の代表でしょうか。 恨菜類はからだを温める効果があり、栄養素も抜群です。また、からだが冷え始めるこれからの 季節にぴったりの食べ物です。今回はその中で、さつまいもについての豆知識を紹介しましょう。

1. じゃがいも、里芋も根?

根菜類といっても根を食べる野菜ではないようです。じゃがいも、里芋は、根ではなく地下茎だそうです。さつまいもは、太った根の部分で根菜の代表でしょう。ニンジン、大根も根ですが、さらに細かく分けると直根類というのだそうです。蛇足ですが、大根はすべてが根ではなく、首の部分は胚軸という部分で、そこからは側根そくこんが出ません。

2. さつまいもの由来

さて、さつまいもに話を戻しましょう。さつまいもは、寒さに弱いため関東以南で栽培されています。
その由来をさかのぼると次のような歴史があるようです。
宝永2(1705)年、南薩摩頴娃えい郡大山村、岡児ヶ水おかちょがみず(現在の指宿郡山川町やまかわまち岡児ヶ水おかちよがみず)の前田まえだ右衛門えもんという漁師が、琉球(沖縄)へ渡った折、種イモ数個を求めて、さつま半島南端部へ持ち帰ったのがさつまいものルーツといわれ、前田利右衛門は「甘薯からいもおんじょ」として崇められ、山川町岡児ヶ水の徳光とっこう神社じんじゃにまつられています。高温多湿で強い日照りを好む甘しょの栽培はみるみる鹿児島県内へ広がりました。
甘しょは、はじめ外国から来たということで唐芋と呼ばれていました。カライモ→リュウキュウイモ→サツマイモと呼び名を変えながら、やがて青木あおき昆陽こんようによって全国に広まり、薩摩の国のさつまいもは、享保17(1732)年の全国的な大飢饉をはじめ戦時中まで国民の飢饉を救うのに大きい役割を果たしてきました。
「サツマイモ」の名が浸透した現在でも、鹿児島では、「からいも」と呼ぶ人も少なくありません。

3. さつまいもの代表的な品種の紹介

  1. 紅さつま
    青果用、加工用として鹿児島では最も多く栽培されている品種。皮は赤く、中は黄色で甘みがあり、ホクホクとした食感で全国的にも人気です。
  2. 島あんのう (安納紅)、安納もみじ(安納こがね)
    肉質は粘度が高く、蒸してもおいしいイモです。
    また、冷めても風味が損なわれないので、焼いた後に冷やして食べるとデザート感覚で楽しめます。
  3. 紅はるか
    安納紅、安納こがねと同じように糖度が高く、焼き芋や加工原料向きの品種です。名前の由来はこれまでの品種より食味や外観が「はるか」に優れていることから。
  4. コガネセンガン
    焼酎やでんぷんの原料として育種開発された鹿児島ではポピュラーな品種です。
  5. 味が良いので焼きいもやお菓子の原料にも利用される万能品種です。

現在鹿児島県では、年間約40万トンのさつまいもが生産されています。これは全国の生産量の約4割にあたります。
種類も豊富に生産する鹿児島は、名実ともに日本一のさつまいも王国です。

4. さつまいもの栄養

さつまいもには多くの食物繊維やビタミンが豊富に含まれています。なかでも、加熱しても壊れにくいビタミンCが豊富で、成人1日の必要摂取量は100mgですが、さつまいも1本(約260gのもの)には約75mgも含まれています。また、 さつまいもを切ったときに出る白い汁は「ヤラピン」で便通をよくする働きがあります。

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