さといも(里芋)

さといも(里芋)

1年中スーパーマーケットで見かけますが、秋から冬にかけて食べる機会が増えてくるのではないでしょうか。江戸時代までは、芋といえばさといもが主役だったそうです。筑前煮やおせち料理、芋煮会など、煮物の材料として欠かせない食材の一つです。今回は、さといもについて紹介します。

1. 縄文時代から

原産地は東南アジア地方で、日本へは縄文時代に伝わったといわれています。熱帯のアジアを中心として重要な主食になっている多様なタロイモ類のうち、最も北方で栽培されています。さつまいもやジャガイモがそれほどメジャーでなかった江戸時代までは、芋といえばさといもでした。
もともと「いも」は、いわゆる「山芋(やまいも)」のことで、それと区別するために、「里で栽培される芋」の意味で「里芋」と呼ばれるようになったようです。

2. さといもの種類

日本の代表的なものには土垂(どだれ)石川(いしかわ)早生(わせ)、えび芋、たけのこ芋、八つ頭(やつがしら)などがあります。

  1. 土垂
    主に関東地方で多く栽培されています。主に子いも、孫いもを食べます。特有のぬめりがあり、肉質も粘りがあり煮崩れしにくいのが特徴です。貯蔵性が高く、1年中出回っています。
  2. 石川早生
    土垂と並び、さといもの代表的な品種です。大阪府南河内郡の石川村(現河南町)が原産地とされ、その地名がつけられています。その名のとおり早生品種で、宮崎県では、7月から収穫が始まります。
  3. えび芋
    反り返った形と表面の縞模様がエビのように見えるのでそう呼ばれるようになりました。元々は唐芋(とうのいも)という品種ですが、土寄せしてエビのように曲げたものをえび芋と呼びます。京都の伝統野菜で、「京芋」とも呼ばれています。
  4. たけのこ芋
    地上に頭を出している姿が「たけのこ」に似ていることから、たけのこ芋と名づけられていますが、「京いも」という名称でも流通しています。前項の「京芋」と混同しそうですが、主産地の宮崎県で「京都のおいしい料理にあやかりたい」との思いから昭和30年ごろから「京いも」という名称を使うようになり、現在では宮崎県の特産となっています。
  5. 八つ頭
    流通している量が少なく、さといもとしては高価で、末広がりの「八」と、子孫繁栄や人の「頭」になるようにという縁起物としておせち料理によく使われます。肉質がしっかりしていて煮ると粘りが少なくほくほくした食感が楽しめ、カルシウムや炭水化物、リンなど多くの栄養成分も他のさといもに比べ多く含まれています。

3. 親いもと子いも

さといもは、土の中にできますが、根ではなく茎が肥大したものです。株の中心に親いもができ、その周りに子いも、孫いもと順々に増えていきます。
土垂と石川早生は子いも、孫いもを食用とする品種で、えび芋は、親いも、子いも、孫いもすべて食用になり、たけのこ芋は子いもがほとんどできず、親いも自体を食用とします。八つ頭は、子いもが分球しないため親子が一つの塊になるタイプです。

4. さといもの旬

さといもは貯蔵性が高いため1年中見かけますが、おいしい食べごろの旬はあります。土垂は10月から12月、石川早生は8月から9月、えび芋は11月から1月ごろ、たけのこ芋は11月から3月ごろ、八つ頭は12月中旬から寒い春前までのようです。

5. さといもの健康効果

主成分はでんぷんとたんぱく質で、食物繊維、ビタミンB1、ビタミンB2、カリウムを含んでいます。なかでも食物繊維の一種であるガラクタンは、脳細胞を活性化させ、老化などを防止し、血圧・コレステロールを下げる効果があります。さといものヌルヌルの素でもあるムチンには、腎臓や肝臓の機能を良くする働き、胃腸の粘膜を保護し、胃潰瘍や腸炎を予防する効果があります。こういったヌルヌル成分や食物繊維を多く含むさといもは、腸を整え便秘の改善にとても効果があります。
ビタミンB1やB2は、代謝に関わっており、低カロリーなさといもはダイエットにもお勧めです。カリウムは芋類のなかでも比較的多く、余分な塩分を排出し、むくみや高血圧の改善に効果があります。主成分であるでんぷんに包まれたカリウムは熱による損失が少なく、汁物などでいただくのがお勧めです。

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