豆腐

豆腐

夏は暑さのために食欲が落ち、さっぱりした食材が食べたくなるものです。さっぱりした食材のひとつに、豆腐があります。豆腐は、人間が生きていくために必要なたんぱく質を食べやすくした代表的な健康食材です。今回は「豆腐」についての豆知識を紹介します。

1. 起源

豆腐のルーツが中国であるのは一般的ですが、いつごろ、どこで誰が発案したのかについては、実のところ分かっていません。中国の古い文献を探ってみると、今から2000年前の漢の時代に創作されたとの説がありますが、豆腐のルーツは謎のままです。
日本に豆腐が伝来したのは、奈良時代から平安時代にかけて遣唐使として中国に渡った僧や学者たちが、豆腐の作り方を教わって日本に持ち帰ったのが定説とされています。豆腐に関する最も古い記録として、平安時代の終わり頃に書かれた奈良春日大社の文献に「唐府」という記述が残っています。

2. 腐っていないのに、なぜ豆腐?

豆腐をそのまま解釈すると、「豆」が「腐る」となります。しかし中国では、柔らかく弾力のある固形物を「腐」といいます。つまり豆腐は「柔らかく固めた豆」という意味だというのが真相だそうです。ちなみに「豆富」と表記するのは当て字で、イメージの悪い「腐る 」を嫌ったものです。
豆腐には「奴(やっこ)」という異名もありますが、これは江戸時代、大名行列の先頭でやりを振っていた奴さんの着ている紋からとったというのが通説です。奴さんの紋は四角形で、豆腐を四角く切ることを「奴に切る」ということから、いつしか豆腐そのものをさすようになりました。

3. 「絹ごし豆腐」と「木綿豆腐」、何が違う?

絹ごし豆腐は絹の布で豆乳をこして作ったもの、木綿豆腐は木綿の布でこしたものと誤解していませんか。本当は食べたときの舌触りが違うため、絹と木綿と呼ばれるようになったというのが正解です。その違いを生み出すのは、豆腐の製造工程の違いです。木綿豆腐は、豆乳に凝固剤を加えて一度固めたものを崩してから、圧力をかけて水分を絞り、再び固めたものです。絹ごし豆腐は、木綿豆腐よりも濃い豆乳に凝固剤を加えて、そのまま固めて作ったものです。また含まれる栄養の量にも違いがあります。木綿豆腐は製造過程で水分を絞るために、栄養分が圧縮されます。

そのため、たんぱく質、カルシウム、鉄分が絹ごし豆腐に比べると2、3割多く含まれています。しかし、水分を絞ることによって、ビタミンB類やカリウムが水分と一緒に流れ出してしまい、ビタミンB、カリウムは絹ごし豆腐の方に多く含まれています。

4. 健康への期待効果

豆腐が健康食品といわれるのは、たんぱく質をたっぷり含んでいることと、植物性の脂肪をたんぱく質に次いで多く含んでいるからです。植物性の脂肪は不飽和脂肪酸で、コレステロールを少なくする働きをもっているといわれています。動物性の脂肪は飽和脂肪酸を含み、血液中のコレステロールを増やしてしまいます。豆腐には、肥満、動脈硬化、心臓病などの生活習慣病の原因となるコレステロールを抑える効果が期待できると考えられています。

5. 豆腐は英語で?

アメリカでは、なんと呼ばれているのでしょう。大豆は「soy bean」しょうゆは「soy sauce」豆腐は「soy…」。実は、豆腐は「tofu」と呼ばれています。寿司「sushi」天ぷら「tempura」と同じく、英語に訳さず、日本語がそのまま世界共通語になっています。豆腐は国際的な健康食材としてだけでなく、宇宙食の試食会にも使われるほど、ユニバーサルな食材になっています。

6. 一丁は何グラム?

かつて豆腐の大きさは地域によってさまざまでした。そこで豆腐を数えるのには、一丁、二丁という確定した単位ではない言い方をしたと思われます。都心では一丁は300~350gが多く、地方になると若干大き目の350~400g、沖縄は一丁1kgが一般的です。

協力:日本豆腐協会
住所:〒101-0032
東京都千代田区岩本町1-1-6井上ビル
HP:http://tofu-as.com/