「酢」は昔からからだによいものとされてきました。調味料としてだけではなく、ヘルシーな飲料としても親しまれており、最近では専門のバーなどもあるほどです。今回は、酢について取り上げます。

1. 酢の歴史

酢は食塩と並ぶ最古の調味料です。その起源は古く、お酒に酢酸菌が付着し発酵したことで偶然できたといわれています。紀元前5000年ころの古代バビロニア人は酢をつくっていたといわれていますし、旧約聖書にも酢でつくった飲物の話があります。

日本で酢がつくられるようになったのは、4~5世紀ころです。中国から酒をつくる技術とともに米酢の醸造技術が伝えられ、和泉の国(今の大阪府の南部)でつくられるようになったのが始まりとされています。当時はとても貴重だったため、一般に広まったのは江戸時代に入ってからといわれています。

2. 酢の種類

家庭では一般的に醸造酢が使われています。穀類、果実、野菜、さとうきび、はちみつ、アルコール等を原料として、これを酢酸発酵させて製造したものです。

醸造酢は穀物酢と果実酢に分類できます。


醸造酢の分類
穀物酢 果実酢
穀類を1種または2種以上使用したもの(穀類、果実以外の農作物、はちみつを使用していないものに限ります)で、その使用総量が醸造酢1リットルにつき40グラム以上のもの 果実を1種または2種以上使用したもの(穀類、果実以外の農作物、はちみつを使用していないものに限ります)で、その使用総量が醸造酢1リットルにつき300グラム以上のもの
米酢、米黒酢、大麦黒酢など リンゴ酢、ブドウ酢など
  • 農林水産省「食酢品質表示基準」による分類

なお、「すし酢」「三杯酢」などは加工酢と呼ばれ、酢にしょうゆ、砂糖、香辛料等を加えています。

3. 酢の効果

酢には酢酸をはじめ、酸味のもととなる有機酸がたくさん含まれており、運動などで疲れた時に、糖分と一緒に(酢を)摂ると疲労回復に効果的です。また、酢酸にはビタミンCの吸収を助ける働きもあります。

そのほか、毎日継続的に摂取することで高めの血圧を正常値に近付けたり、食後の血糖値の上昇を穏やかにしたりする効果があります。

4. 酢の活用法

酢を調理に使うと、そのさわやかな酸味が嗅覚と味覚を刺激して、唾液や胃液の分泌が促され食欲が増進します。

また、酢には塩味を引き立たせる働きがあるため、料理に使う食塩の量を減らせるほか、主成分の酢酸には細菌の増殖を抑える防腐効果があり、ピクルスなどの酢漬けやタコ・青魚の酢〆に利用されています。

そのほか、煮魚に加えると生臭さが消えるだけでなく、骨もやわらかくなります。

最近では多くの果実酢が市販されていますが、糖質(蜂蜜や砂糖)を加えて摂取すると、グリコーゲンを筋肉や肝臓に早くストックできるので、運動後のエネルギー補給に最適です。いろいろな組み合わせを試して、自分の好きな酢ドリンクを発見するもよいでしょう。

協力 : 全国食酢協会中央会
ホームページ : http://www.shokusu.org