和菓子
6月16日は「和菓子の日」ということをご存知でしょうか。西暦848年(平安時代)の夏、仁明天皇が御神託に基づいて、6月16日に16の数にちなんだ菓子、餅などを神前に供えて、疫病をよけ健康招福を祈願し、「嘉祥」と改元したという古例にちなみます。今回は、和菓子の豆知識を紹介します。
1.和菓子の歴史
食が十分ではなかった古代人は、空腹を感じると野生の木の実や果物を採って食べていました。この間食が「果子」と呼ばれるものになったと考えられています。食べ物を加工する技術のなかった太古には、果物の甘みを特別な恵みと感じ、主食と区別していたのでしょう。栗と柿は古代から栽培されていた果実です。
その後、木の実を天日で乾燥させて保存したり、石臼などで粉砕して保存するようになりました。クヌギやナラの実(ドングリ)も食べていましたが、アクが強くてとてもそのままでは食べられません。それらの木の実を砕いて粉にして水にさらすことによりアクを抜き、団子状に丸めて熱を加えるなどしたことが団子の始まりといわれています。
やがて、日本最古の加工食品といわれる「餅」が誕生します。『
昔の甘味とはどのようなものだったのでしょう。まず、米を発芽させた「米もやし」を使ってでんぷんを糖に変える「飴」がありました。米もやしの水飴は『日本書紀』にも登場します。それから「
遣唐使が、唐から持ち帰ったものの中に「唐菓子(からくだもの=からがし、ともいう)」がありました。米、麦、
その後、ポルトガル人やスペイン人により南蛮菓子が渡来します。ボーロ、カステラ、コンペイトーなどで、現在でも食べられている和菓子の原型になりました。
江戸時代に入って、和菓子は大きく発展します。日本中の城下町や門前町で独特の和菓子が生まれたのもこの時代です。現在食べられている和菓子の多くは、江戸時代に誕生したものです。
2.朝 生 菓 子 と上 生 菓 子
朝生菓子は、作ったその日に食べる菓子です。草餅、大福、団子など、なじみのある生菓子のほとんどが朝生菓子です。餅などのでんぷん質のものは、時間を置くとどうしても硬くなります。そのために、毎朝作って、その日のうちに食べる、そうしたことから朝生菓子と呼ばれるようになりました。
一方、上生菓子は、手技の技術を生かして、季節の風物を映しとって作る練り切りなどが代表的なもので、多くの品は2~3日はおいしく食べられます。
また、出来たてより、それなりの時間を置いた方がおいしくなるものもあります。栗まんじゅうやカステラまんじゅうなどの焼き菓子は、作った翌日の方がぐんとおいしさが増します。覚えておくと、和菓子の楽しみが広がります。
3.和菓子は食べても太らない?
和菓子は脂肪分が非常に少ないので他の菓子類に比べて低カロリーであるばかりか、主原料である豆類には便秘を防ぐ食物繊維が豊富で、小豆には抗酸化作用のあるポリフェノールもたっぷり含まれています。和菓子は美容と健康のためにもお勧めできます。
もちろん、どんなものでも食べ過ぎはよくありません。しかし、甘いものを我慢してダイエットを行いイライラするより、1日に和菓子をひとつ、おいしいお茶とゆっくり楽しみ、精神的に満足することも、大切ではないでしょうか。
4.季節と和菓子
端午の節句に無くてはならない菓子といわれる柏餅。柏の木は新芽が出ないと古い葉が落ちないという縁起から生まれ、子孫がいなければ家が途絶える武家社会では、子孫繁栄を象徴する菓子として喜ばれたのです。端午の節句に柏餅を食べる風習が根付いたのはこの縁起の良さの他、餅であんを包むときの手つきが、柏手を打つ動作に似てめでたいという意味もあったようです。
みなさんも、和菓子を味わいながら、季節の移り変わりを感じてみてはいかがでしょう。
協力:全国和菓子協会
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