火災に備えて

住宅火災の原因と対策

戸建住宅・共同住宅の火災発生は、建物火災全体の5割以上に相当しています。また、住宅火災発生原因の上位には、コンロ、放火、たばこ、ストーブ、電気機器、配線器具や火遊びによるものが上げられています。

対策

  • 放火対策として、建物周辺を明るくし、建物の周辺には可燃物を放置しない
  • 電気器具の周辺には可燃物を置かない
  • 長期間差し込んだままのコンセントの埃を点検し、除去する
  • 家具の下敷きになっている配線や断続的に踏みつけられている配線はないか点検する
  • ガス器具は安全装置のついたものを使用する
  • 寝たばこはしない

住宅火災と逃げ遅れの原因

火災による死亡のうち、戸建住宅火災によるものが7割近くを占め、共同住宅を含めると8割を超えてしまいます。建物火災の中で住宅火災による死亡者の割合が非常に高く、その理由は、逃げ遅れによる焼死となっています。
逃げ遅れによる死亡には、深夜火災に気づくのが遅れたケースや、就寝中に有毒ガスを吸ったため、火災に気づかないまま意識を失ったり、死亡したりし、その後焼死状態にいたったケースも多いと思われます。
火災にともなって各種の有毒ガスが発生しますが、その内一酸化炭素は全ての火災で発生し、火災発生後3分~10分後に発生するフラッシュ・オーバー現象(※)前後から多量に発生するといわれています。
一酸化炭素が多く発生するということは、単に酸素濃度が薄くなるというだけでなく、本来は酸素と結合し体内各所の組織に酸素を運んでいる赤血球中のヘモグロビンと素早く結合(結合の速さは酸素の200倍~300倍といわれており、酸素が結合できなくなってしまいます。)するため、脳内が酸欠状態となって危険への気づきが鈍ったり、身体が麻痺し適切な行動をとることができなくなったために逃げ遅れたり、状況によってはその場で死亡にいたるといった非常に危険な状態になります。

  • フラッシュ・オーバー現象
    火災時に、燃焼物から発生する可燃性ガスがたまり、それが一時に引火して爆発のように全体に炎が回る現象

火災の煙への対処法

「住宅火災と逃げ遅れの原因」で見たように、火災で怖いのは炎だけではありません。煙は多くの有毒ガスを含み、少しでも吸い込むと大変危険です。

対処法

  • 煙を見たら、できるだけ低姿勢(床を這うように)で逃げる
  • 布(ハンカチ・タオルなど)で、口・鼻を覆う(できれば布は濡らしたほうがより効果的)
  • 壁伝いに進む(避難路を確保する)
  • 煙は、横方向へは人の歩く速さとほぼ同じだが、上方向には、人の走る速さの2倍以上で移動するといわれており、上へ避難する際は注意が必要
  • 高層住宅火災では、エレベーターは使わないようにする
  • 建物内の階段は煙の通り道になることがあるため、屋外の非常階段を使う

住宅火災と避難

住宅火災では早めに気づき、避難のための時間的余裕があること、人体が避難できる状態(有毒ガスを吸引する前に気づくこと)であることが重要な要素となります。また早めに気づくことによって、火が小さいうちに火災を消し止めることも可能となってきます。
家庭内には日頃より、消火器、簡易の避難はしごやロープ、その他諸々の防災用具を備えておきましょう。また、早めに火災に気づき、火災が小さいうちに避難や消火ができるよう、建物内に住宅火災警報器を設置することをおすすめします。

ガス漏れへの対処法

家庭内で使用されるガスには空気より軽い都市ガス(一部LPガスを主成分とし空気より重い都市ガスもあります。)と空気より重いLPガスがあります。都市ガスは空気より軽いため万一漏洩した場合には上方に拡散してゆきます。一方LPガスは空気より重く漏洩したガスは床面に滞留するため、着火源と接触する機会が多くなります。家庭で使用しているガスの種類や空気比重等ガスの特性を、供給会社に確認し、事前に把握しておくことが防災の第一歩です。

ガスはちょっとした火花ですぐに爆発します。そのため、ガスの漏洩に気づいた場合、漏れたガスを排出するために換気扇や扇風機のスイッチをONにするのは厳禁です。また、LPガスには、空気よりも重いため家の中に沈殿しつづける性質もあります。ガスを外に出すためには、窓を開け、換気を行い、うちわなどで扇ぎだすようにしてください。ガス漏れを早期に発見するためには、ガス漏れ感知器を業者に依頼して設置しましょう。

対処法

  • 換気扇や電気機器のスイッチ、コンセントに触れない
  • 火気を使用しない
  • すぐにガス栓、メーター栓を閉める
  • 窓を開け、換気を行う
  • ガス会社に連絡し、屋外へ退避する