住まい選び

まずは、これから住まいを購入しようと考えている人への基礎情報の提供です。「一戸建て」「マンション」のそれぞれの特徴や、「資産価値の落ちない不動産」の条件等についてご紹介します。

一戸建て住宅の特徴

一戸建て住宅とは、一般的に、土地および建物を単独で所有または占有できる形態をいいます。複数で所有(共有)する場合であっても、通常、配偶者や子どもなどの親族間で共有するケースがほとんどです。一戸建て住宅の購入希望者は、永住志向が高く、独立性を重視する傾向があります。

メリット

  • 増改築・建て替え、リフォーム、売却等が自由にできます。
  • 注文住宅の場合、ハウスメーカーを選択し、自由に建物を設計することができます。
  • 建売住宅の場合、注文住宅と比較すると、大量発注・生産で建築費を抑えているため、安価にて取得することができます。
  • マンションと比較すると、独立性が高いといえます。

デメリット

  • 都心部などでは土地・建物の総額が高くなるケースがあります。
  • マンションと比較すると、防犯上の安全面が図りにくい。
  • 維持、管理、手入れに手間がかかります。
  • 訪問者(セールス等)の対応が面倒なことがあります。

マンションの特徴

マンションは一般的に、敷地の容積率を可能な限り有効に活用して建てられているため、1戸あたりの土地持分が少なくなっています。そのため、購入者にとっては土地取得費用の負担が少なくなり、同じ価格帯で一戸建てと比べた場合、マンションのほうが利便性の良い地域の物件を購入することが可能です。

メリット

  • 最近建築されたマンションでは、オートロックシステム、防犯カメラ、24時間管理等による安全性や、宅配ロッカー、システムキッチン等による利便性が高くなっています。
  • 規模のメリットを活用し、緑地の確保や共用施設の充実がなされています。
  • 一般的に、一戸建てと比較すると、耐用年数が長く、耐久性に優れています。

デメリット

  • 隣接した部屋の生活音やプライバシーの問題が発生しがちです。
  • 管理、修繕が必要なため、長期にわたって管理費・修繕費を負担しなければなりません。
  • 配水管の位置や構造上の観点から、大幅な間取りの変更はできません。
  • 複数の権利者(区分所有者)が存在するため、将来の大規模改修や建て替えが困難です。

あまり資産価値が落ちない不動産とは

毎年発表される公示地価で、地価が上昇している場所と下落している場所があります。
上昇した場所は、なぜ上昇したのでしょうか?上昇には、何かしらの理由があるはずです。住宅購入を考える場合、地価が上昇しないまでも、あまり下落しない住宅、不動産を購入したいものです。

資産価値の決定要素

資産価値の決定要素を考えた場合に、立地・場所といった「ソフト」面と、建物・居住空間といった「ハード」面に分けて考えることができます。

ソフト
立地・場所にかかわるもの
環境、生活の便、交通の便、眺望、災害危険性など
ハード
建物・居住空間
建物の構造、耐震性、耐久性、住宅設備、居住スペースの広さなど

「ソフト」と「ハード」どちらを優先しますか?

「工場に囲まれた崖のふもとの豪華な家」と「公園やスーパーが徒歩圏にある普通の家」があるとします。どちらを選びますか。
資産価値は、簡単に言うと「将来、売ったらいくらになるか」ではかることになります。それでは、将来、第三者に売る場合、買う人から魅力を感じてもらえるのは、「ソフト(環境)」でしょうか、「ハード(建物)」でしょうか。それはやはり「ソフト(環境)」です。先ほどの例はちょっと極端ですが、当然「公園やスーパーが徒歩圏にある普通の家」を選ぶ人が多いはずです。
 建物はお金さえ払えば、どんないいものでも建てられますが、環境はお金で買える、あるいは自らの力で変えられるものではありません。また、豪華な家を購入しても、売るときには中古となり、住宅設備等の魅力も薄れてきます。

良い環境を保てる、立地のよい不動産を選びましょう。

新築住宅は、どれも素敵にできています。将来の資産価値が(あまり)落ちない不動産を購入するには、「ソフト(環境)」を重視し、良い環境を保てる、立地のよい不動産を選ぶことが重要です。良い環境とは、「日当たりがよい。近くに緑がある。交通の便がいい。生活の便がいい。閑静である。治安がよい。」といった環境であることは当然ですが、将来を見据えて、良好な環境を保てる不動産を探すことが重要となります。

ポイント

  • 現地に足を運び、自分の目で隣接地の状況を確かめる。
    (隣接地(特に南側)には、比較的新しい低い建物が既に建っており、しばらく他の建物に変わることは考えにくい・・・など)
  • 都市計画、用途地域から、高層建物が建てられないエリア、日照が保たれるエリアを確かめる。

用途地域について調べてみましょう。

都市計画法では良好な都市生活が営めるように、建物の用途を規制した用途地域というものを定めています。住宅系7種類、商業系2種類、工業系3種類の全部で12種類があり、この用途地域は、各市区町村役場の都市計画課で調べることができます。また、建築基準法で、その用途地域ごとに、建ぺい率、容積率等も定められているため、建物の大きさや日照環境にも差がでてきます。

住まいの購入にかかる諸費用

住宅を取得する際には、住宅の価格だけに目がいきがちですが、購入代金以外にもさまざまな諸費用がかかります。購入代金と比較すると小さな金額のために、あまり重要に捉えていない人も多いかもしれませんが、決して見逃せる金額ではありません。その諸費用について見てみましょう。



住まいの購入にかかる諸費用

売買契約時 印紙税(国税) 売買契約書に貼付する印紙税が必要です。売買金額により異なります。
不動産仲介手数料 不動産会社の仲介で、不動産を購入する場合に支払います。売主である業者から直接(媒介業者なしで)購入する場合には、手数料は発生しません。
ローン契約時 ローン取扱手数料 融資実行の事務手数料として金融機関に支払います。
ローン保証料 連帯保証人を立てず保証会社を利用する場合の保証料です。
生命保険料 住宅ローンを組む際、団体信用生命保険の加入が条件となる場合が多いです。
火災保険料 住宅の火災保険を、住宅ローンを組む際、強制加入としている場合が多いです。
地震保険料 火災保険だけでは、地震が原因の場合に十分な補償が得られないため、地震に備えるためには、別途、地震保険の加入が必要です。こちらは、任意加入の場合が多いです。
印紙税(国税) 住宅ローンの契約書にも印紙税がかかります。
登録免許税(国税) 抵当権設定の登記に登録免許税がかかります。
登記時 登録免許税(国税) 土地の所有権移転登記や、建物の表示登記(新築一戸建等)、建物の所有権保存登記(新築)・所有権移転登記(中古)などに登録免許税がかかります。
登記手数料 司法書士に各種登記を代行してもらうための報酬です。
土地・建物の
取得関連
不動産取得税(都道府県税) 不動産を取得したことに対して課税される税金です。取得してから数ヶ月後(納税通知書に定められた期限まで)に支払います。
固定資産税(市町村税) 土地や住宅等の資産を所有している人に毎年かかります。資産の価格をもとに算定される税額を、資産の所在市町村に納めます。
都市計画税(市町村税) 課税の有無、税率の水準等は、地域における都市計画事業等の実態に応じ、市町村ごとに異なります。
その他 引越し費用 多少なりとも、必ず発生します。
家具・家電製品購入 予定以上にかかる場合が多いようです。

この表から、どのような時に、どのような費用が必要なのかが分かるでしょう。 それぞれの項目の具体的な金額は、いろいろなケースによって異なるため、細かくは記載しませんが、おおまかに言って、諸費用全体で、新築物件であれば購入代金のおおむね3~5%程度中古物件であれば購入代金のおおむね5~10%程度かかります。諸費用を全く考慮にいれていないと、住宅購入代金の2割の頭金を貯めたつもりが、諸費用がかかって2割に満たないなんてことにもなりかねないので、諸費用分も含めて自己資金がどのくらい必要かを確認し、準備するようにしましょう。