休養・心の健康

睡眠を十分にとっていますか?

(1) 休養

人間のからだは休養を必要とするようにできています。「不眠不休」という言葉がありますが、無理を重ねれば必ず破たんします。休養により、からだを構成する細胞は正常な状態に回復します。睡眠をとることは最も望ましい休養の原点です。また、精神的なリフレッシュ効果のあるもの、例えば美しい自然を眺めるとか森林浴を体験するなどは、広い意味で休養となります。

(2) 心の健康(ストレスコントロール)

同じような状況にあって、ある人はストレスを感じ、また、ある人はストレスを感じないということがあります。このことは、ストレスを受けやすい人とそうでない人がいることを表しています。

よくいわれることは、きちょうめんでまじめ、責任感が強く内向的な性格の人が、ストレスを受けやすいとされています。それに対して、楽天的で社交的、のんびりとした性格の人は、ストレスを受けにくい傾向にあるといえます。自分がどちらのタイプに近いかを考えてみましょう。そして、自分に合ったストレス解消法を発見し、さわやかな毎日を過ごしたいものです。

  1. 睡眠を十分にとっていますか?
  2. 悩みを相談できる人がいますか?
  3. クヨクヨしない方ですか?
  4. 自分なりのリラックスの仕方を知っていますか?

メンタルヘルスチェック

ストレスが過剰になると、いらいらや緊張感が高まったり、心臓がドキドキしたり、時には胃が痛くなる人がいます。これは、ストレスのサインが心やからだに現れている証拠です。このサインは、心に現れやすい人もいれば、からだや行動パターンの変化として現れやすい人もいます。ストレスとつきあっていくには、まず自分のストレスの程度や現れ方を知ることが必要です。

簡易ストレス度・チェックリスト(自己評定用)

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桂載作博士らの考案 1980

0~4個 5~-9個 10~19個 20~30個
正常 軽ストレス(休養) ストレス(医師に相談) ストレス強

リラクセーション法 - ストレス解消のために -

ストレスは病気ではなく、逆に健康の維持には欠かすことができないものです。問題はストレス過多をいかにうまく処理するかということです。心身をコントロールする方法としては、自律訓練法やリラクセーションなどがありますが、ここではリラクセーションの簡単な方法を紹介します。

リラクセーションの進め方

  1. いすに腰をおろし、楽な姿勢をとります。
  2. 軽く目を閉じます。
  3. 大きく息を吸い込んで、そのまま止めます。
  4. 同時に、両手のこぶしを強く握り、腕も足も棒のようにぐっと強く伸ばし、全身に力を入れ、これを約5~10秒続けます。
  5. 口から大きく息を吐き出しながら、急に力を抜きます。
  6. そのまま、まったく力を抜いた何もしない状態で、頭の中を空っぽにして自分を投げ出しておきます。この状態を5分から20分くらい続けます(目は最後までつむったままでいること)。
  7. リラックス状態が途中で中断したら、3~5をもう一度繰り返します。これを、ふだんから機会を見ては繰り返します。

注1 リラクセーション状態で雑念が起こっても、無理にそれを追いはらおうとせずに、自然に無視する態度をとるようにすること
注2 リラクセーションを無理に、また早く得ようとしてあせらないこと
注3 食後2時間以内は消化活動がリラクセーション反応を妨げるので避けること

快適な睡眠を得るために

人間のからだは休養を必要とするようにできています。「不眠不休」と言う言葉がありますが、無理を重ねれば必ず破たんします。休養により、からだを構成する細胞は正常な状態に回復します。睡眠をとることは最も望ましい休養の原点です。睡眠は、時間でなく質が問題で、睡眠によって十分に休養をとれることが大切です。

健康づくりのための睡眠指針2014 ~睡眠12箇条~

  1. 良い睡眠で、からだもこころも健康に。
    よい睡眠で、からだの健康づくり/よい睡眠で、こころの健康づくり
  2. 適度な運動、しっかり朝食、ねむりとめざめのメリハリを。
    定期的な運動や規則正しい食生活は良い睡眠をもたらす/朝食はからだとこころのめざめに重要/睡眠薬代わりの寝酒は睡眠を悪くする
  3. 良い睡眠は、生活習慣病予防につながります。
    睡眠不足や不眠は生活習慣病の危険を高める/睡眠時無呼吸は生活習慣病の原因になる
  4. 睡眠による休養感は、こころの健康に重要です。
    眠れない、睡眠による休養感が得られない場合、こころのSOSの場合あり
  5. 年齢や季節に応じて、ひるまの眠気で困らない程度の睡眠を。
    必要な睡眠時間はひとそれぞれ/睡眠時間は加齢で徐々に短縮
  6. 良い睡眠のために、環境づくりも重要です。
    自分にあったリラックス法が眠りへの心身の準備となる
  7. 若年世代は夜更かし避けて、体内時計のリズムを保つ。
    子どもに規則正しい生活を/休日に遅くまで寝床に過ごすと夜型化を促進
  8. 勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を。
    日中の眠気が睡眠不足のサイン/睡眠不足は結果的に仕事の能率を低下させる
  9. 熟年世代は朝晩メリハリ、ひるまに適度な運動で良い睡眠。
    寝床で長く過ごしすぎると熟睡感が減る/適度な運動は睡眠を促進
  10. 眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない。
    眠たくなったら寝床に就く、就床時刻にこだわりすぎない
  11. いつもと違う睡眠には、要注意。
    睡眠中の激しいいびき・呼吸停止、手足のぴくつき・むずむず感や歯ぎしりは要注意
  12. 眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家に相談を。
    専門家に相談することが第一歩/薬剤は専門家の指示で使用

厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針2014」(平成26年)より抜粋

睡眠を理解しよう

睡眠には、深い眠りのノンレム睡眠と、浅い眠りのレム睡眠の二つの状態が現れることが分かっています。浅いノンレム睡眠から次第に深くなり、それが終わるとレム睡眠に入るというパターンが1時間半くらいの周期で繰り返されています。一般的に、ノンレム睡眠は夕方から夜中にかけて、レム睡眠は夜中の2時から朝方にかけて多く現れます。ですから、夜の12時より前に寝るようにすれば、最初のノンレム睡眠が深いものとなり、質のよい眠りを得ることができるとともに、朝方に多く現れるレム睡眠のときに目が覚めると、目覚めがよいといわれています。

睡眠の時間経過を示す模式図
睡眠の時間経過を占めす模式図

「睡眠の不思議」井上昌次郎著 講談社より