規則正しい(食)生活をしていますか?
生活習慣病は、糖尿病や高血圧症のように長い年月の間の生活習慣が原因になる場合が多く、自覚症状のつかみにくい疾患です。治療には長い時間を必要とし、その経済的・精神的な負担は大きいものです。日ごろから予防を心がけておくことが大切です。
- たばこを吸いますか?
- 週2日以上の休肝日を設けていますか?
- 規則正しい(食)生活をしていますか?
- 塩分、脂肪、糖分をとり過ぎないように気をつけていますか?
- 定期検診を受けていますか?
- かかりつけの医師がいますか?
健康日本21と健康づくり
「健康日本21」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは、平成12年3月に厚生省(現厚生労働省)が発表した、国民の健康づくり運動の通称です。私たちのこれからの健康づくりの基本となるものです。
「健康日本21」が従来の健康づくりと異なる点は、国民の「健康寿命」の延長を目的に、10年後の平成22年を目標とした達成目標をつくったことです。「健康寿命」とは、単に長生きするのではなく、いきいきと健康に長生きすることです。達成目標は、九つの領域ごとに具体的な数字で示されています。例えば、栄養・食生活の項では、「20歳から60歳代の男性肥満者の割合を現状の24.3パーセントから15パーセント以下にする」などです。国として目標値をつくったことで、職域や地域においても独自の目標値をつくって、そのために何をしていけばよいかを考え、対策をたてていく機会となっています。
禁煙に挑戦してみましょう
嗜好品の中でたばこは、最も健康と関連するものです。「たばこは百害あって一利なし」とよくいわれることは、もうみなさん十分ご存知のことです。たばこによって肺がんだけでなく、心臓病や歯周病、気管支炎などの危険性も高まります。このようなたばこの害に関する知識があっても、成人男性の約29.0%、女性の約8.1%がたばこを吸っています(厚生労働省「平成30年国民健康・栄養調査」より)。なぜ禁煙が難しいかというと、たばこには依存症があるからです。一度習慣化するとニコチン依存から脱するのは容易ではありません。
事務所内での禁煙はもとより、公共施設や学校の敷地内での禁煙、航空機や鉄道、空港や駅構内、路上禁煙など禁煙への環境が整ってきました。平成17年からのWHOたばこ規制枠組条約発効を受けて、日本でもたばこ規制が進みました。思い切って禁煙に挑戦してみましょう。本数を減らすなどといわず、すっぱりやめてみることです。禁煙するとしばらくイライラしますが、それを過ぎると本当に爽快な気分を味わえます。禁煙を失敗することはよくあることです。また禁煙すればいいのだと前向きに考えてください。
当財団情報誌「教職員の生涯設計」の掲載記事を参考に
- 「やめられないたばこ、どうしたら禁煙できるのでしょうか?」88号
たばこを長年吸ってきた人にとっては、禁煙とは至難の業かもしれません。
しかしこの領域の医学の進歩は目覚ましく過去の常識は非常識という状況になっています。
かかりつけ医を見つけるヒント
かかりつけ医とは、ホームドクターとも呼びますが、自分の健康状態のことをよく知っていて、健康づくりの相談にいつでものってもらえ、いざというときには適切な病院を紹介してくれる医師のことです。
かかりつけ医を持つことのメリット
- あなたの健康状態を昔から知っているので、何か変化が生じたときに適切なアドバイスをもらえる
- あなたの生活状況をよく知っているので、適切な生活習慣の指導が得られる
- 重大な健康問題が生じたときには適切な病院を紹介してもらえる
かかりつけ医をもつポイントは、風邪や腹痛などがあったときに、まず通いやすい医院を選んで受診することです。そして、診療の内容を吟味して、かかりつけ医としていいかどうかあなた自身が判断するのです。小さい病気で通院するだけでなく、検診の後の精密検査などで相談すれば、あなたの健康状態を十分に把握してくれるでしょう。
健康診断結果の見方・活用法
健康診断の内容は大きく分けて2種類あります。がんを早期発見しようとしている検査(がん検診)と循環器系の疾患(心臓病や脳血管疾患)になりやすい因子の程度をみる検査(ここでは循環器検診と呼びます)です。
がん検診の活用法
がん検診は、早期に発見が可能で、かつ早期治療が可能ながんが検診の対象になっています。
早期発見・早期治療の有効ながん検診
胃がん(胃X線撮影)、大腸がん(便潜血検査)、前立腺がん(血液のPSA検査)、子宮がん(子宮細胞診)、乳がん(乳房視触診、乳房X線撮影)、肺がん(胸部X線撮影) など
検診はスクリーニング検査といって、疑わしい所見をもつ人をたくさん見つけます。次の精密検査で確定診断をします。がんが実際に見つかるのはごく一部の人です。がん検診で精密検査を指示された人は、恐れずに精密検査を受けましょう。そして、精密検査を受けて異常なしとなった後は、ほっとするのではなく、生活習慣を見直すきっかけとしてください。
循環器検診の活用法
循環器検診における、身長と体重、血圧、総コレステロール、空腹時血糖などの検査項目は、循環器病のなりやすさを示す危険因子を検査しているものです。検査項目の判定基準にあがった数値を改善する意味は、将来の循環器疾患にならないようにするためのものです。検査値が境界域だから放置しておいてよいというものではなく、境界域の段階から、積極的に対処するのが大事です。
心電図検査は、何らかの心疾患があるかどうかをみている検査です。
その他の検診項目
肝臓の検査として血液検査(GOT、GPT、γ-GPT)が行われます。本来はウィルス性の肝炎を早期に発見するためのものですが、慢性肝炎以外でこの検査値が上昇するのは、アルコールの摂取過多や肥満の影響がある場合です。自身のアルコール摂取量や、肥満の程度をモニターするのに活用してください。 なお、検査項目の内容や基準値については、下記団体のホームページ等で確認することができます。
BMIをチェックしてみましょう
日本肥満学会では、国際的に用いられている肥満の判定法である体格指数(BMI)による肥満の判定方法を提唱しています。
BMIは体重(kg)/身長(m2)で求められます。あなたのBMIを計算してみましょう。
※数値は半角で入力してください。
- あなたのBMI値:??
- BMIからみた標準体重:??kg
やせ 18.5未満 |
普通 18.5~25未満 |
肥満(1度) 25~30未満 |
肥満(2度) 30~35未満 |
肥満(3度) 35~40未満※ |
肥満(4度) 40以上※ |
※BMI35以上を「高度肥満」と定義
【注】BMIによる標準値は、22とされていますが、これはやせや肥満を原因とする病気にかかりにくい数値とされています。
ただしBMIが正常値の範囲にあるからといって、体内の脂肪量が少ないとはいえません。BMIは体格を表す簡便な指標としては有用ですが、その数値だけから、からだの状態を推し測るのは危険です。できれば、皮下脂肪の厚さやウエスト、ヒップなど他の指標と併せて自分のからだをチェックすることが大切です。
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)
メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪蓄積による肥満の人が、糖尿病、脂質異常症、高血圧症などの動脈硬化危険因子が同一患者に重複して存在する病態をいいます。メタボリックシンドロームでは一つひとつの症状は深刻でなくても、重複してもつと心筋梗塞などの危険性が高いとされています
生活習慣病対策に関するリンク
- 厚生労働省 「健康日本21(第2次)」
平成12年度から平成24年度までの12年間推進されてきた「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」が平成24年度末で終了となり、これを受けて新たに見直された基本方針のもと、これからの健康づくりの基本となるものです。 - (一社)日本生活習慣病予防協会
生活習慣病にかかわるさまざまな情報
参考
- 厚生労働省 「令和元年国民健康・栄養調査」
「身体状況及び糖尿病等に関する状況」「栄養・食生活に関する状況」「身体活動・運動及び睡眠に関する状況」などを調査しています。 - 厚生労働省 「令和元年人口動態統計」
令和元年の死亡数を死因順位別にみると、第1位は悪性新生物で37万6425人、死亡率(人口10万対)304.2、第2位は心疾患20万7714人、167.9となっています。男女ともこの順位は変わりません。第3位以降は性別により違いがあり、男性は肺炎、脳血管疾患、老衰、誤嚥性肺炎、不慮の事故、慢性閉塞性肺疾患の順で、女性は老衰、脳血管疾患、肺炎、誤嚥性肺炎、不慮の事故、血管性等の認知症の順となっています。