家計の収支

年収の手取金額を知っていますか?

(1) 現状の把握

わが家の家計の現状を把握しましょう。まず収入面。年収はいくらか、複数の収入のある場合は合計します。年収から税金・社会保険料を引いた額が、家族が使えるお金、可処分所得です。可処分所得を生活費にあてたり、一部を貯蓄にまわします。

支出については、まず決まって出ていくものを把握します。現金で支払うものだけでなく預貯金口座から支払う項目も多いでしょう。食費や日用品代など日常生活費(※)と冠婚葬祭費、耐久消費財購入費などの臨時的支出があります。支出から預貯金やローンの返済などを引いたものが年間生活費です。

  • その他の日常生活費の例
    電気代、ガス代、上下水道料、電話代、子どもの教育関係費、家賃、新聞代、小遣い、自動車税、保険料、積立預貯金 など

(2) 家計の収支と生活設計

現在の支出は、今の生活や楽しみのための支出だけでなく、ローン返済のような過去の買い物に対する支払いや、将来の買い物のための積み立て、リスクのために支払う保険料などさまざまな支出からなっています。現在の収入を今のためにすべて使ってよいわけでなく、長期計画の中に位置づけてみる必要があります。

一番大切なことは、生涯にわたって得る収入を、生涯にわたる生活を充実するために有効に支出配分することです。今年の収入と支出だけを切り取って、有効かどうかを判断することはできません。ここに生活設計をたてる理由があります。

  1. 年収の手取金額を知っていますか?
  2. 1か月の生活費を知っていますか?
  3. 住宅ローンなどがある場合、月々の返済額と残額を知っていますか?
  4. 退職手当(退職金)や公的年金の受取見込額がおよそどれくらいか知っていますか?
  5. 計画的な支出を心がけていますか?
  6. 退職後の生活費のことを考えたことがありますか?

当財団情報誌「教職員の生涯設計」の掲載記事を参考に

在職中の家計と退職後の家計

退職後の生活で、在職中の生活とは大きく異なるのが収入です。在職中は、給与収入が中心ですが、退職後は年金が収入の柱になります。しかもその金額は、退職時の給与額を比較すると大幅にダウンすることになります。したがって、在職中と同じような経済観念で、同じようなライフスタイルを維持しようとすれば、経済的に破綻することになるかもしれません。そのような事態を招かないようにするためにも、経済生活設計がとても重要なのです。

家計の収支の推移例
家計の収支の推移例

在職中の家計と退職後の家計を統計データ(総務省「家計調査」)でみると、下表のとおりです。
統計データですから、みなさんの個々の家計とは異なると思いますが、在職中と退職後の家計の変化の傾向が分かります。年金収入は一定水準を維持しますが、国の財政が厳しい中で、社会保険料の負担が増えると可処分所得は減少します。また、高齢夫婦世帯では、可処分所得では生活が賄えず、赤字となっています。赤字分は貯蓄を取り崩して補うこととなります。

一般世帯と高齢夫婦世帯の家計

(単位:円)

  一般世帯 高齢夫婦無職世帯 高齢単身無職世帯
世帯人員 3.32 2.00 1.00
世帯主の年齢 49.6 75.4 76.5
実収入(1) 558,718 222,834 126,547
 社会保障給付費 32,454 203,824 118,411
実支出 418,907 264,707 162,027
 消費支出(2) 315,314 235,615 149,685
  食料 76,090 65,319 36,433
   外食 15,429 6,481 5,024
  住居 18,200 13,625 18,771
   設備修繕・維持 6,056 10,282 12,310
  光熱・水道 21,771 19,905 13,125
  家具・家事用品 11,338 9,385 4,663
  被服及び履物 13,072 6,171 3,623
  保健医療 11,973 15,181 8,343
   保健医療サービス 6,602 8,594 4,017
  交通・通信 51,508 28,071 14,052
   自動車関係費 27,940 16,077 6,547
   通信 16,538 8,267 5,141
  教育 19,131 2 0
  教養娯楽 29,838 24,239 16,739
   教養娯楽サービス 17,492 14,738 9,875
  その他の消費支出 62,394 53,717 33,935
   こづかい(使途不明) 11,875 6,532 71
   交際費 17,955 25,596 18,663
 非消費支出(3) 103,593 29,092 12,342
   直接税 43,428 11,796 6,213
   社会保険料 60,079 17,278 6,083
可処分所得(4)=((1)-(3)) 455,125 193,742 114,205
黒字(5)=((4)-(2)) 139,811 ▲41,873 ▲35,480

総務省「家計調査」(平成30年平均)を参考に作成しています。
(注) 一般世帯:二人以上の勤労者世帯
高齢夫婦世帯:世帯主65歳以上、配偶者60歳以上の無職の高齢者のみの世帯
高齢単身無職世帯:65歳以上の単身無職世帯

ゆとりある老後の生活費はどのくらい?

夫婦のゆとりある老後のために必要な生活費はいくらくらいと考えられているのでしょうか。(公財)生命保険文化センターが行った調査結果は、下表のとおりです。

在職中の年収や、住んでいる場所により金額が異なります。平均的には、最低日常生活費が22.1万円で、ゆとりのためにはプラス14.0万円の36.1万円が必要であることが示されています。

ゆとりある老後の生活費

(単位:万円/月)

  老後の
最低日常生活費
ゆとりのある
老後生活費
(ゆとりのための上乗せ額)
平均 22.1 36.1 (14.0)
世帯
年収別
300万円未満 20.3 33.8 (13.5)
500万円未満 21.6 34.7 (13.2)
700万円未満 22.1 36.4 (14.3)
1,000万円未満 22.8 37.1 (14.4)
1,000万円以上 26.1 41.7 (15.6)
市郡
規模別
大都市 22.9 37.5 (14.7)
中都市 22.1 36.0 (13.9)
小都市 21.4 34.8 (13.4)
郡部 21.3 34.6 (13.3)

(公財)生命保険文化センター「生活保障に関する調査」(令和元年度)を参考に作成

そこで、ご自身の家庭では生活費はいくら必要かを予測し、年金収入でカバーできない金額を算定してみることをお勧めします。貯蓄額はいくら必要か、不足があれば生活内容を見直すかなど「わが家の価値観、家計収支」のもとで、退職後の経済生活設計をたてることが大切です。

その具体的な方法に、「経済生活設計表」の作成があります。このホームページには、「経済生活設計表」の作成シートを掲載していますので、是非ともご活用ください。

公的年金はいつからもらえるか

公的年金は、全国民共通の国民年金(基礎年金)と、国民年金の上乗せ部分としての厚生年金の2制度からなります。

国民年金には、日本国内に住所をもつ20歳以上60歳未満のすべての人(この人たちを「国民年金の被保険者」といいます)が加入することになっています。

また、厚生年金には、公務員や教職員のみなさん、民間の会社員などの人のうち、70歳未満の人(この人たちを「厚生年金の被保険者」といいます)が加入することになっています。この厚生年金の被保険者は、下表の4つの種別に分けられており、その種別に応じた実施機関がそれぞれの被保険者期間(共済組合等の加入期間も含む)にかかわる年金の決定や支給事務を行います。

厚生年金の被保険者の種別
対象者 被保険者の種別 実施機関
民間企業の会社員など 第1号厚生年金被保険者
(一般厚生年金被保険者)
日本年金機構
国家公務員共済組合の組合員 第2号厚生年金被保険者
(国共済厚生年金被保険者)
国家公務員共済組合および国家公務員共済組合連合会
地方公務員共済組合
(公立学校共済組合)の組合員
第3号厚生年金被保険者
(地共済厚生年金被保険者)
地方公務員共済組合、全国市町村職員共済組合連合会および地方公務員共済組合連合会
私立学校教職員共済制度の加入者 第4号厚生年金被保険者
(私学共済厚生年金被保険者)
日本私立学校振興・共済事業団

支給開始年齢は、国民年金の老齢基礎年金が原則65歳から、厚生年金の老齢厚生年金も本来65歳からですが、上表の第2号から第4号の厚生年金被保険者は、次のとおり生年月日により支給開始年齢が異なります。

生年月日に応じた支給開始年齢
生年月日 支給開始年齢
昭和29年10月2日~昭和30年4月1日 61歳
昭和30年4月2日~昭和32年4月1日 62歳
昭和32年4月2日~昭和34年4月1日 63歳
昭和34年4月2日~昭和36年4月1日 64歳

(注)表に掲載の生年月日は、第2号~第4号厚生年金被保険者の老齢厚生年金の対象者を掲載しています。

公的年金制度の繰上げ・繰下げ支給制度

(1)繰上げ支給(支給開始年齢より前に年金受取)

生年月日別の厚生年金の支給開始年齢は前項のとおりですが、60歳から本来の支給開始年齢に到達する前に請求を行い、老齢厚生年金を繰上げて受け取ることができます。ただし、年金額は繰り上げた月数1か月あたり0.5%の割合で減額され、減額は生涯続きます。

また、老齢基礎年金、他の実施機関の老齢厚生年金の受給権を有する場合、同時に繰上げ請求しなければなりません(すべて減額支給となります)。なお、在職中は繰上げ支給の老齢厚生年金についても支給停止されます。

(2)繰下げ支給(66歳以降から年金受取)

65歳到達時点で老齢厚生年金の請求をしないで、66歳以降に老齢厚生年金の繰下げを申し出ることにより、申し出た月の翌月分から繰り下げた月数1か月あたり0.7%を増額した年金を受けることができます。ただし、65歳から繰下げの申し出をするまでの間の年金の支給はありませんし、請求勧奨もありませんので注意してください(加給年金額も支給されません)。

繰下げの申し出は、66歳の誕生日以降70歳に到達するまで、1か月単位で行うことができます。他の実施機関の老齢厚生年金を受給できる場合は、同時に繰り下げる必要があります。

老齢基礎年金も老齢厚生年金同様に繰下げの申し出を行うことができ、同時に繰り下げる必要はなく、異なる時期に繰り下げる場合は、それぞれ申し出が必要です。

65歳の時点または66歳になるまでの間に障害給付(障害基礎年金を除く)または遺族給付の受給権がある人、65歳以降の退職(老齢)を事由とする年金を受給している人は、繰下げの申し出をすることができません。

詳細は、日本年金機構や所属の共済組合(私学事業団)のホームページなどをご覧ください。

公的年金額を知る

定年退職が近づいてきた教職員のみなさんが退職後を見通した経済生活設計を行うには、収入の柱となる公的年金の受取見込額(試算額)の把握が大切となります。金額を知る手立てとして、「ねんきん定期便(加入記録や年金見込額などの年金情報)」や所属の共済組合(私学事業団)などでの年金額の試算があります

「ねんきん定期便」は、誕生月の直近に加入している実施機関から毎年送付されてきます。さらに、35歳、45歳、59歳になった人にはその詳細版が送付されてきます。

あなたの経済生活設計に、是非とも活用してください。

「ねんきん定期便」の送付時期や内容、年金額の試算依頼の方法については、共済組合等からの広報誌、ホームページをご覧ください。

参考